日本とドイツのFIT制度

第1回FIT制度と電力コスト~再生エネは、本当に高いのか

日本再生可能エネルギー総合研究所 代表
株式会社日本再生エネリンク 代表取締役
北村和也(きたむらかずや)
【2013年12月20日】

現状でも、太陽光、風力の一部は競争力あり

 リポートによりますと、ドイツでの現時点での再生エネと化石燃料の1kWh当たりの発電コストは、以下の表のようになっています。
 これらの幅は、設置される地域や日射量や風況などの自然条件、施設の規模などによって発生します。例えば、太陽光の最下限10円は日射量の多い南ドイツの野立ての場合の数字です。一方、18円は、北ドイツの屋根置きの太陽光のケースですが、これでもドイツの平均家庭の電力料金の半分程度の額です。
 見てわかるように、風況の良い場所での陸上風力のコストは、化石燃料と十分戦える数字です。また、太陽光も一部で競争力を持っています。

2013年11月時点の発電コスト

また、12月に発表された世界的な金融機関であるUBSのアナリストによれば、アメリカの再生エネ電力のコストも急激に下がっています。
例えば、全米の風力の4分の1が設置されているテキサス州では、1kWh当たり3セント(3円強)で契約がなされています。コロラド州の太陽光の例では、現在1kWh当たり6セント(6円強)で、将来は4セント(4円強)の契約が視野に入っています。これはガスによる発電と伍して戦えるということです。

2030年には、どうなるのか

続いて、フラウンホッファーISEがはじき出した2030年の予測数字を見てみましょう。たいへん興味深いデータが示されています。

2030年の発電コスト

 上記のように、太陽光は8円~12円とさらにコストを下げ、下限ではついに褐炭による火力発電の十分な競争相手になります。
 陸上の風力は、すでに技術革新とコスト減の限界ということで、コストはわずかに下がるだけです。それでも、下限は、他の火力発電を大きく下回り、最も強力な競争力を備えています。
 洋上風力はやや苦戦を強いられています。これは、陸上との連携ケーブルや送電線建設がなかなか進まないことが影を落としている可能性が高いと思われます。
 一方、火力発電が軒並みコストを上げているのがわかります。褐炭の火力発電が3円上がり、上質の石炭火力は3円~4円、ガス蒸気のコンバインドサイクルが2円~3円上昇します。細かいデータを見ると、確かに火力発電の発電効率などはやや改善されますが、CO2の排出権取引などによるコストが上乗せされ、コスト上昇につながっています。

将来、再生エネ電力は、従来の発電と十分に戦える

 再エネ先進国のドイツでは、将来コストを見れば「再生エネ電力は、必ずしも高くない」という考え方が、すでに十分成立しています。フラウンホッファーの予測データは、それを示しています。また、アメリカの例では、一部の地域とは言え、すでに化石燃料のプラントと堂々と張り合っています。

 ドイツなどの数字をそのまま日本に置き換えることはできないかもしれません。しかし、一度、「再生エネ電力は高い」という常識を疑ってみましょう。冷静なデータに向き合い、先を見据えて考えれば、日本でもエネルギーの違う未来が見えてくることがわかります。

以上

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