日本とドイツのFIT制度

第1回FIT制度と電力コスト~再生エネは、本当に高いのか

日本再生可能エネルギー総合研究所 代表
株式会社日本再生エネリンク 代表取締役
北村和也(きたむらかずや)
【2013年12月20日】

 第1回の今回は、議論の一つとなっている再生可能エネルギーからの電力のコストです。高い高いと言われて批判もある再生エネのコストですが、本当にそれは正しいのか、また、将来の価格はどうなるのか、ドイツなど海外の例と合わせて見ていきたいと思います。

 結論から言えば、「将来、再生エネは、化石燃料と十分競争力を持つ」と言うことです。それでは、検証していきましょう。

再生エネ電力は本当に高いのか

再生エネ電力は、言われているように本当に高いのでしょうか。 現時点では、確かに従来型の発電に比較して高コストなのは間違いないでしょう。ですから、FIT制度を導入して、再生エネ電力に下駄をはかせているわけです。ちなみに、買い取り価格は、太陽光発電は10kW以上で36円、風力発電は20kW未満で22円、地熱発電は1万5000kW未満で42円など(いずれも1kWh当たり、税抜き)となっています。 ただし、コストの比較をする時にポイントが2つあります。ひとつは、計算の方法です。原価に何を入れるのか、数字をどう積み上げるのかなどによって、数字はかなり違ってきます。 もうひとつは、将来コストをどう見るかです。ある意味、現時点の価格より、将来の方が重要です。

エネルギーと補助金

  FIT制度は先に書いたように、再生エネに対する優遇制度ですから、自由経済の観点などから、不公平さを指摘する意見も聞かれます。
   これに対してドイツでは、こんな反論が起きました。エネルギー源別のこれまでの(または現在も続いている)補助金の額を比較しようというのです。
   どの国でも、エネルギーは国民の生活や生産活動の根幹にかかわる重要な要素です。そのため、研究開発費なども含み多額の補助が行われてきています。これ自体は、私は悪いことではないと思います。
   ドイツでは、これまで火力発電や原発に対する莫大な補助があり、総額は再生エネ発電(再生エネに関する賦課金は政府の補助ではありませんが)を、はるかに上回っています。
   日本でも、発電に関する補助は行われており、特に原発に関しては、研究開発、ドイツにはない電源三法による地元支援も含めて、いまだに毎年"兆円"単位です。

将来の発電コストはどうなるのか

  さらに重要なのは、将来のコスト予測です。発電プラントは基本的に大きな投資を必要としますが、その他原料費など付加的な未来のコスト変動なども正確に把握しなければなりません。建設後、原料費などが急上昇したのでは、無駄な投資となりかねないからです。

  先月、ドイツで再生エネのコストに関する新しい研究報告が発表されました。ドイツ最大で世界的に著名なフラウンホッファー研究所の太陽光システム研究部門(Fraunhofer ISE)が発表したリポートです。テーマはずばり、「再生エネ電力のコスト」です。
   このリポートは、2013年11月時点と2030年との発電コスト予想をまとめたもので、再生エネでは、太陽光と陸上、洋上風力、従来型の発電では、褐炭、石炭による火力発電、およびガスと蒸気によるコンバインドサイクル発電のコスト比較を行っています。

  再生エネ先進国のドイツの再生エネ発電のコストは、現時点で日本とかなり異なっています。また、急激な円安のために円に換算した時の数字が大きく変動してしまいました。それでも、現状と将来の発電コストの傾向は、日本にとっても大変参考になります。
   このコスト計算には、発電そのものにかかる費用だけでなく、上流下流のコスト、稼働時間、発電効率の将来変動、CO2排出権関連コストなども含まれています。例えば、火力発電の発電効率は、将来一定の割合で上昇するとして計算されています。
   また、ここでは、1ユーロは一応130円で換算し、小数点以下を四捨五入しました。

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