日本とドイツのFIT制度

第5回
ドイツの再生エネは失敗しているってホント?
~今、ドイツで起きていることの真実

日本再生可能エネルギー総合研究所 代表
株式会社日本再生エネリンク 代表取締役
北村和也(きたむらかずや)
【2014年6月11日】

フランスは、ドイツから電力輸入超過

さて、本当にドイツはフランスから電力を余計に買っているのでしょうか。フランスとドイツの電力の輸出入の数字を見ましょう。以下のデータは、フランスの送電会社RTEがまとめた2013年白書の数字です。今年の1月半ばに発表されました。

△フランスの電力の輸出入(2013年、単位TWh)
  輸出 輸入 全体
全体 79.4 32.2 47.2
対スイス 23.9 7.4 16.5
対イタリア 16.9 1.5 15.4
対ベルギー 15.2 2.3 12.9
対イギリス 12.3 1.8 10.5
対スペイン 5.8 4.1 1.7
対ドイツ 5.3 15.1 -9.8

ざっと見てわかるように、フランスは輸入量の倍以上の電力を輸出しています。フランスは、総発電量の10%を輸出するヨーロッパ最大の電力輸出国なのです。フランスにとって、電力は重要な輸出品ということになります。

表のように、多くの隣国がフランスに対して輸入超過になっています。スイスやベルギーなどの比較的小さな国は、フランスに電力を頼っていると言ってもいいかもしれません。これらの国では、自分の国で大きな投資をして発電するよりも、フランスを含む国から電力を買った方が安上がりと考えているようです。

ただし、ドイツとの関係は事情が違います。電力輸出国フランスも、ドイツに対してだけはおよそ10TWhの大きな輸入超過になっているのです。実際に、厳寒の冬にフランスの電力がひっ迫して、ドイツから緊急輸入をしてしのいだケースもあります。

ひとこと断っておくと、取り上げた数字は商業的な電力のやり取りです。つまり、ある国とある国が実際に売り買いをしているトータル量ということです。これに対して、別に物理的な電力のやり取りもあります。その統計では逆にフランスからドイツへ流れる電力量がドイツからの電力量を上回っています。これは、フランスがスイスやイタリアに輸出する時にドイツを経由することが多く、ドイツを通過する電力量が統計上で加わるためです。少し細かい内容ですが、実態を知らないで一方的に発信することの危うさを現わしています。

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