導入事例|

見える化の事例補助金活用の事例省エネ(設備更新)の事例工場の事例

福岡県醤油醸造協同組合様

福岡県醤油醸造協同組合様

電気料金の大幅増によって省エネ対策を検討。
工場内設備の運用改善~設備改善に至るエネルギーコスト削減共同プロジェクトとは。
製造工程で大量のエネルギーを使用する課題に対してどのような取り組みを行ったのか。
使用電力の『見える化』を実施後、独自の省エネ対策を展開。設備改善に至った経緯を伺いしました。

施主様情報

組合名 福岡県醤油醸造協同組合
設立 昭和42年4月
所在地 福岡県筑紫野市
事業内容 生揚醤油の協同生産工場
生産能力 15,000KL(年間生揚生産能力)
URL http://www.fsjk.or.jp

施行内容

施行場所 福岡県醤油醸造協同組合 生産工場
施行内容 工場内のエネルギー(電力)使用量計測、監視装置の導入
エネルギー診断・改善策ご提案(共同取り組み)
施工期間 約2週間(2011年9月下旬)※計測器取り付け工事
診断・検証・改善期間 2011年10月~2012年12月(1年2か月)
活用した補助金 平成23年度中小企業向け省エネルギー計測監視設備等導入事業助成金
【中小企業基盤整備機構】

省エネルギープロジェクト【共同取組】の流れ

2011年1月 福岡県醤油醸造協同組合 生産工場
2011年6月 工場内のエネルギー(電力)使用量計測、監視装置の導入
エネルギー診断・改善策ご提案(共同取り組み)
2011年8月 同補助金 採択
2011年9月下旬 電力計測装置設置【工期:約2週間】
2011年10月~12月 エネルギー診断、データ分析、現状把握、運用改善策のご提案
2011年12月末 中小企業基盤整備機構へ、エネルギー診断書の提出
2011年10月~2012年12月 改善策の実行および検証。プロジェクト定例会議の開催【全3回】
2013年1月末 中小企業基盤整備機構へ、成果報告】
2013年1月 設備改善のご提案
2014年3月~ 設備改善のご提案
・第4発酵タンク空調システム設備工事
・1号製麹工程用水冷チラー設備工事
・6号発酵タンク用空冷チラー設備工事
・3号製麹用エアコンプレッサ設備工事
・圧搾室用コンプレッサ設備工事
・第2工場・製麹室用LED設備工事

福岡県醤油醸造協同組合様は、昭和42年に生揚の共同生産工場として福岡県内の醤油製造メーカーらが出資して設立されました。福岡県は、しょうゆ製造メーカー数が日本一としても有名です。当組合様は、しょうゆの集約工場として大量生産することで品質の良い生揚を製造し、安定的に供給するという重要な役割を担っておられます。

製造過程で電力、A重油、LPGなど多くのエネルギーを消費されている中、特に使用量の大きい電力の契約を見直さざるを得ない事態が発生、これを機にエネルギーコストの見直しを本格的に検討を開始されました。

高騰する電力料金に対してどのような対策を取り、何を実行されたかについて、福岡県醤油醸造協同組合の井澤 圭史製造部長にお話をお伺いしました。


電力料金が倍増した背景 ~省エネプロジェクト発足に至るまで~

福岡県醤油醸造協同組合 製造部長 井澤 圭史様

-省エネ対策を本格的に検討するきっかけとなった出来事を教えていただけますでしょうか?

2010年9月までは、使用電力量の約半分をオンサイト発電事業者から電力を購入していました。そのため、全使用電力の約半分を安価に電力を購入することが出来ていました。

ところが、重油の高騰が原因で設置事業者がオンサイト発電事業から撤退してしまいました。その結果すべての電力を九州電力から購入することになり、電力費が倍増しました。

具体的には、契約基本電力が400kWから850kWへ大幅に増加しました。これは本格的に省エネ対策をやらなければいけない、と本格的な検討に乗り出しました。

しかし、当工場はエネルギー管理指定工場ではないために、積極的な省エネの取り組みが出来ておらず、どこから手を付けたら良いかわからない状況でした。

九州電力との契約基本電力

※オンサイト発電とは
民間事業者が電気を大量に消費する商業施設や工場を顧客に、発電機をリースの形で導入し、設置工事から燃料の調達、保守点検まで作業の一切を請け負う事業。

はじめに取り組んだ対策とは? ~独自に行った省エネ対策~

-当初は独自に節電(省エネ)に取り組まれたとのことですが、具体的にはどのようなことを実践されたのでしょうか?

まず、工場内の動力機をリスト化して、機器、工程別に電力使用量の把握を試みました。具体的には原動機300機、ポンプ130機を対象としました。使用電力量を見ながら生産計画を立ててピークカットを実行に移す、という計画でした。

-期待された効果はありましたか?

そう簡単にはいきませんでした。どうしても合点がいかないところがかなり出てきてしまいました。負荷で変動するような電力が、実は一番ピークカットしたい負荷が最もずれてしまうんですね。これでは思い通りにならないなと実感し、それ以上の検証・対策が出来ませんでした。

分かっているつもりでも、実際は分かっていない、実数値というよりも理論値で見ながら組み合えてやってみました。ただ、それだけでは実際と違うところが出てきているところがありますし、我々には更に深く追求できる知識やツールを持ち合わせていませんでした。

-使用電力の詳細を分析し、改善策を実行するには困難を伴いますね。

そうですね。検証できなかった点は非常に残念でしたが、それ以上に問題だったのが、現場のモチベーションが保てなかった点ですね。例えば『出口圧力を下げてくれ』といった指示を出すのですが、その結果をフィードバックさせないと現場は興味も持たずに終わってしまうのです。仮説を立てて検証しても効果が出ない、目標管理が出来ていないのが問題だと感じました。

自動製麹装置
発酵タンク

省エネ対策を前進させるために ~共同プロジェクトスタート~

-かなりのご苦労があったのですね。その中、2011年頃に当社とのお付き合いがスタートしました。

組合内での省エネ対策に万策尽きた時期に、地元の高圧ガスメーカーさんを通じてオムロン フィールドエンジニアリング(以下、オムロンFE)を紹介してもらいました。お会いした際に現状をお話ししたところ、第1段階として補助金を活用した電力の見える化を提案してもらいました。ただ、補助金を活用するという事は結構大変なことだと認識していました。というのも、組合内にある技術部では補助金を活用した事業を行っているのですが、申請書類の作成に掛かりっきりになっているのを間近で見ていたので、それを自分がやるのはかなり厳しいと感じていました。そういった意味からも補助金を活用するのはハードルが高いと認識していました。

-ハードルが高いとお感じになっていた補助金を活用する意義はどのあたりに感じていましたか?

当組合の中でも特に技術部は、醤油製造に関する研究・開発を積極的に推進しております。その成果を学会で発表するなど、技術革新に力を入れてます。PDCAで言いますと『C』の部分です。これがないとその先のアクションも取れませんし改善できないよ、という文化が浸透しています。ですから、分析結果を数値化して目標の達成報告義務がある補助金制度は私たちの文化にフィットしており、また意義を感じることができました。

しかし、我々製造部内で省エネ対策を実施するに当たっては、知見がないためにPDCAサイクルが回すことが出来ませんでした。特に『C』がないから検証出来ず、対策を立てることが出来なかったわけです。

今回オムロンFEと一緒に取り組む事に決めた最大の理由は、PDCAの『C』と同時に『A』も行える点に価値を感じたからです。分析後の対策を具体化しましょう、という提案内容がとても良かったですね。さらに、オムロンと言えば電子制御関係のプロフェッショナルですし、またオムロン製品がうちの工場の制御盤を開けるとたくさん装備されています。特にリレーは基本的にはオムロンさんのしかないくらいな話ですよね。その会社が言っているんだから間違いないだろうと。それは現場の人間にも浸透していますね。オムロンのリレーを見たことがない人間はいないくらいですからね。

-ありがとうございます。補助金が無事に採択され、本格的な省エネプロジェクトをスタートしました。電力計測システムが設置された具体的な箇所を教えてください。

導入した装置は、電力量計43台、湿温度計1点、エネルギー監視装置1台でした。具体的には、チラー、コンプレッサー等の外気温・湿度によって変動する電力量の把握と、設備の老朽箇所、電力原単位の悪い箇所の把握です。





補助金活用〜エネルギー改善策の実行までの流れ
電力計測(見える化)システム施工の様子

問題点を明確に ~電力データ計測から見えてきたこと~

-計測装置設置から約2か月後、当社から『省エネ推進活動報告書』をご提出いたしました。計測結果を分析し課題点が明らかになりました。

そうですね。この計測で、3か所ある受電室の中でも、第3受電室内にある第4発酵室の熱効率が悪いことが判明しました。平日・休日に電力使用量の違いが少ないことが判明しました。
特にポンプ類は稼働し続けていたことが判明しました。しかもこのタンクは工場内でも一番古いタイプで、タンクの中には空調設備があり、しかも制御できていない状態でした。この箇所が、いわゆる原単位の悪い設備だったのです。計測器を付けるまでは理由が特定できませんでした。他の発酵タンクに比べて、かなり電力を消費していると印象しかありませんでしたの、非常に驚きましたし、今回の電力計測を実施しなければ、ここに課題があるとはわかりませんでした。

-この円グラフを見ると一目瞭然ですね。

稼働していないにも関わらず、ずっと使い続けていることになっていた事実に非常に驚きました。電力計測するまでは、個別の電気使用量が分かりませんでしたので、課題抽出の効果があったなと思いました。

-問題点を明らかにすることで、平成23年度の事業としては完了しました。

そうですね。ただ、計測結果(C)に対しての対策案(A)が明記されていましたので、少しずつ改善はしてきました。細かいところをオムロンFEにやってもらったが、第4発酵タンクはどのくらいその中でそれぞれ使用しているのか、という事を個別で電力計測装置を付けて貰ったので、さらに詳しい電力計測を行いました。

- 計測器は何か所取り付けましたか?

チラー、温水循環ポンプ、冷却水ポンプ、冷水ポンプ、冷水循環ポンプ、温水ポンプ、コンプレッサの7か所になります。

これを踏まえて、オムロンFEは対策案を提示してくれました。これを基に検討するのですが、例えば仕込み温度基準値の見直し、これは品質にかかわることで。我々の方で判断しますと、冷水温度の季節変動、これについては出来ますと。やるべきですと。冷却水ポンプの停止、これについても必要に応じてやるべきです。と。また、冷水ポンプ等のインバーター化、インバーターというのはご存じのとおり1割避けたら3割ほど電力量が下がりますから、これはすぐに実施しました。

また、実施してみて分かったのですが、何でこんなに悪いのか、何でこんなにチラーが稼働しっぱなしだったのか、というのを原因究明した時に、冷水と温水が混ざっていると。3方弁で。3方弁の老朽化ですね。

ー ただ古いだけではない問題があるという事を現場を見ながら発見出来たりするんですね。

そうですね、オムロンFEと一緒に現場を検証してもらって発見してもらったりしました。こういった課題を解決しようと現在更新、導入に向けて進めているところです。

対策が実を結ぶ ~運用改善(ピークカット)の成果~

様々な運用改善を実践した結果、目に見えて成果が表れました。ピークカットの成果としては、850kWから650kW迄下がり、現在は600kWにまで削減できました。電力使用量は実施する前は年間300万kW使用していたのが、230万kW(24年度)と、70万kWほど削減することに成功しました。

運用改善を実施するにあたり、オムロンFEが費用対効果をすべて算出してくれました。これによって、効果の高いものから優先して取り組む事ができました。電力の見える化を行うという事は、実際の対策に結びつくだけでなく現場のモチベーションアップにも役立っています。現場へはやっただけの効果があったよ、とフィードバックが出来るだけで全然違うんですよね。対策をして数値に動きがあると、現場の人間も考えるようになりますよね。動きがないとはやり考えたくても考えようとしませんもんね。

  私たちのようなエネルギー管理指定工場ではない企業は、あまり本気で省エネ対策を行ってないと思うんですよ。やっても分からない、だからやらない、で終わっていると思うんです。ただ、やっていない分やり始めたら、ものすごく大きな成果が出ます。テストの点数で言うと20点くらいだったと思うんですよ。それは今では60点くらいまで上げられたかなと。今後さらに設備更新を実施して70点、80点へと高めていきたいですね。ただ、点数が上がった後の対策については、自分たちだけの努力では限界があるので、プロフェッショナルに頼らないと出来ないことが多くなってくると思います。

効果的な節電対策が実を結ぶ ~九州経済産業局長賞の受賞

-このたびの経済産業省九州経済産業局局長賞の受賞、誠におめでとうございます。

ありがとうございます。電気料金やエネルギーに係るコストというのは年々高くなっております。どんなにエネルギーを削減してもなかなか費用面で表に現れてくれないんですね。その中で、地道に行ったことがこういった賞につながったのは、従業員が『ああよかった』とモチベーションアップにつながりますので、そういった意味では良かったなと思っています。また電力の削減が実際に評価されたと思います。疑問を持つ、という事が大事だと思いますし、そこに対策はある、と思います。

効果的な節電対策が実を結ぶ ~九州経済産業局長賞の受賞

更なるコスト削減、省エネ工場を目指して ~運用改善から設備改善へ~

-今後は設備更新のステージに入りますが、さらに踏み込んで大きな視点で今後の課題ですとか取り組みたいことはございますか?

私たちが醤油屋として進む道、ビジョンがまず前提にあります。それを踏まえたうえで設備更新を行っていかないといけない、と感じております。今の時代ですから、付加価値のある小ロット、多品種化ですとか、それをクリアしながらの設備更新ですね。この工場は古いものですから、毎年何かしらの設備更新があります。そのビジョンを活かしながら高効率化、省エネの方向での設備更新、をやっていかないといけないと感じています。

-顧客から求められるものが多くなっている時代ですよね。

そうなんですよ。昔は安く大量に品質の良いものを作っていれば良かったんですが、今はそれだけではだめになってきましたね。 高付加価値を求められていますね。

更新のタイミングとしては、まずメリットが出来るもの、更新時期にきているもの、さらに運用改善できるものと、オムロンFEはすべて把握してくれているので楽ですね。まさに痒いところに手が届く、そんな関係性を築いていけていると実感しています。

オムロンFEに非常に感謝している部分というのは、設備機器のメーカーや代理店が個別で来られると私がすべて交通整理をしなければいけないんですね。オムロンさんはその交通整理までやって頂いたので、窓口が一つで対応できたのが良かったですね。そういった意味では商社のような役割をオムロンさんが果たしてくれたと思っております。特に今回は、発酵室、コンプレッサ、チラーなど複数の設備を更新しますので、工事も入ります。さらにそれを交通整理しろって言われると、とてもその時間は実際には作れないし、ないですね。それを一手にやっていただいて、しかも組合の中のことをよくわかってくれていると。色々と聞けば教えてくれますし、細かいことまで聞けるので。パートナーシップがしっかりと構築されていると思います。

特に、私たちの組織には専任の設備担当者がおりません。そういったところは交通整理の役割を果たしてくれる人(企業)がいたほうが、私たち管理する人間側から言わせれば非常に助かっています。

当社所属 エネルギー診断プロフェッショナルの視点

福岡県醤油醸造協同組合様の取り組みで特筆すべき点が大きく2つありまして、1点目はこういった見える化のツールというものは必要な部分ではあるのですが、経営者の方がそれに投資するのかというと、投資対効果がはっきりしないものなので、積極的に投資されないケースが多いです。その中で福岡県醤油醸造協同組合様は、電力計測装置を、経営でいうと会計ソフトのように捉えて、省エネ対策をスタートさせるのに必要とご判断されたところがすごいと思います。

2点目は、井澤様が製造部の部長というお立場から、エネルギーと製造の方を両方見られているというのがあって、これもまた通常のお客様であれば、省エネ部門と製造部門は別の場合が多く、仮に『温度を上げる』という話があった時に省エネ担当と製造担当でせめぎあいがあるんですよね。『品質に影響があったらどうするんだ』という事があるんですが、福岡県醤油醸造協同組合様はそこをきちんと検証されながら、これまで当たり前だったところのハードルを次々に見直しされ実行されたというのが取り組みとしては素晴らしいと感じています。

ご要望事項の実現

オムロン フィールド エンジニアリング株式会社 現場代理人 松隈 竜二

福岡県醤油醸造協同組合様は福岡県の醤油を一手に製造されているお客様です。

今回の取り組みでは、エネルギー計測監視システム(以降EMS)を納めさせていただいただけでなく、計画の立案、設備導入後の見える化コンサルティングまで、1年以上を掛けてお付き合いさせていただきました。

エネルギーの見える化を実施されるお客様の中には、見える化することが目的となってしまうケースもありますが、この福岡県醤油醸造協同組合様は見事に使いこなし、結果として九州経済産業局の賞を受賞されました。

引き続き省エネルギーの優良工場として、進化されることを期待いたします。

オムロン フィールドエンジニアリング株式会社 現場代理人 松隈 竜二 オムロン フィールド
エンジニアリング株式会社
現場代理人 松隈 竜二