オムロン フィールドエンジニアリング株式会社
よりよい社会の実現に向けた[オムロンカーボンゼロ]の取り組み よりよい社会の実現に向けた[オムロンカーボンゼロ]の取り組み

2015年9月、「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連で採択され、同年12月にはCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)でパリ協定が採択されました。これを契機に世界は「低炭素」から「脱炭素」へと舵をきり、日本においても地球温暖化対策として温室効果ガス排出量の中・長期的な削減目標が定められ、環境問題への取り組みは、すべての企業に求められる重大な課題となりました。このような中、環境分野において持続可能な社会をつくることが、自社の企業理念にある「よりよい社会をつくる」ことと捉え、環境ビジョン「グリーンオムロン2020」のもと温室効果ガス排出量削減の取り組みを進めていたオムロングループ(以下、オムロン)は、2018年7月【2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指す新目標「オムロン カーボンゼロ」】を設定しました。この取り組みについて、その進捗や実際の効果、ご苦労された点や取り組みの今後についてなどを、オムロン株式会社グローバル人財総務本部で環境マネジメントに携わる立岡周二様にうかがいました。

会社概要

オムロン株式会社[OMRON Corporation]

創業 1933年(昭和8年)5月10日(設立:1948年5月19日)
所在地 京都府京都市
事業内容 オートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、約120の国と地域で商品・サービスを提供
Web https://www.omron.co.jp

企業理念との一致、「よりよい社会をつくる」

-まずはオムロンの環境方針、環境分野への全社的な取り組みについて教えてください。

私たちオムロン株式会社の企業理念にあるOur Mission(社憲)に「よりよい社会をつくりましょう」という言葉があります。この「よりよい社会」とは、環境においては「持続可能な社会」を意味していると捉えています。具体的には「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の3つが実現されている姿です。

オムロングループでは『環境ビジョン グリーンオムロン2020』を掲げ、温室効果ガス排出量の削減、化学物質の適正な管理と削減、廃棄物の削減、大気・水・土壌汚染の防止、水資源の有効活用、環境マネジメントの推進、この6つの項目それぞれに目標を設定し、PDCAをまわしています。

-温室効果ガスの排出量削減目標は2020年で2016年度比4%削減とされていますが、現在のところ削減の進捗はいかがでしょうか?

温室効果ガスの排出量を2016年度比で33.7%削減しました。

-現時点の目標を大きく上回る成果ですね。ここに至る取り組みの詳細と大きな成果の要因を教えてください。

ひとつは徹底した省エネの実行です。省エネによって電力使用量を削減することは、エネルギーを効率良く、大切に使うということにつながります。私たちがモノをつくるときのエネルギー使用量を削減することは、生産コストの低減にもつながるのです。ここはオムロン フィールドエンジニアリング(以下、OFE)にもいろいろとご協力をいただきながら取り組んでいるところです。2つめは使用電力のクリーン化です。これは事業の使用電力を、太陽光発電システムを中心とする再生可能エネルギーによってできるかぎり賄うことと、国内外を含め電気の供給者からクリーンな電力・CO2排出量ゼロの電力を購入することです。その上でさらなる温室効果ガス排出量の削減のために、非化石証書を使うといった手法もうまく組み合わせて取り組んでいきます。

このように毎年さまざまな事業部門や拠点からの多くの投資によって省エネ効果を積み上げていきました。具体的には毎年1000万kWhを超えるほどの省エネを継続的に実現できています。また使用電力のクリーン化として多くの事業所や工場、特に新しい建物を建設する時には必ず太陽光発電システムの導入を推進しています。そして2018年から関西エリア、2019年からは東京エリアにおいてCO2排出量ゼロの電力プランを採用しました。現在、日本で使用している電力のうち6割近くが太陽光発電システムによる電力やCO2排出量ゼロの電力です。

実現のきっかけとなった「そこまでやるのだったら、排出量はゼロに」

-短期間でそれだけの取り組みを成功されたわけですが、2018年に経営として「オムロンカーボンゼロ」の実行を判断され設定されたきっかけやポイントを教えてください。

サステナビリティ推進室という部門が取締役会の下にあります。そこでは世の中のニーズや社会の潮流を分析し、それに応えるための対策などを取締役会や執行会議に上程しています。「オムロンカーボンゼロ」については「気候変動(地球温暖化)」に対しオムロンとして何をすべきかの検討を経て、2018年4月に「よりより社会」をつくるため、温室効果ガス排出量の削減目標を、これまでの原単位目標からより厳しい総量目標へと変更しました。加えて「SBT」の2℃シナリオに基づき、2050年で81%削減(基準年(2016年)と比較して2050年で81%削減する)執行会議に上程した際に「そこまでやるのだったら、もう排出量はゼロにしましょう」という、気候変動に対して、企業の社会的責任を果たそうとする経営の強い意志入れがあり、「2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指すオムロンカーボンゼロ」が決定され、実現に向けてスタートしました。

-ご提案された81%という数字に対し、排出量ゼロにしましょう、という言葉をお聞きになった時のチームの反応は、どのようなものでしたか?

正直驚きました。現在では、2050年をカーボンニュートラルの目標設定する企業も多くありますが、その当時で、2050年を目標とする国内企業は少なく、結果的にはこれで良かったと思っています。経営陣の気候変動に対する危機感が伝わってきました。

-それでは次に、この「オムロン カーボンゼロ」の取り組みを推進するにあたり、現場でご苦労されたお話がありましたらお聞かせてください。

経営は企業価値の向上、特に社会的価値を生み出していくことを重要視しています。一方、事業部門の担当者は、製品の品質や利益を第一に考えます。私たちは、このような中で省エネ対策や再エネ拡大の投資を各事業部門にお願いするわけです。事業部門にしてみれば、方針は理解するが、売上や利益をコミットしている中で投資は難しい、という状況になります。それでも計画的に投資をしてもらわなければならない。そこでいろいろな切り口から根気よく説明し、事業側の理解と協力を得て環境の優先順位を上げてもらう。これが1番苦労しているところです。

-では、事業側の反応はいかがですか?

例えば10件の省エネ・再エネメニューを提案すると「今年度はAとBは実行できないが、CとDは実行しましょう。Eは次年度、Fは将来的にも難しい」のように、予算・投資回収性・事業戦略との整合性の観点で検討していただけます。全く検討いただけないということは、今まで一度もなく、これはとてもありがたいことと思います。事業部門への提案にあたり、OFEにて国内のオムロンの主な事業所や工場を3ヶ月ぐらいかけて、省エネ・再エネのポテンシャル診断を実施しました。この場所なら効果的に太陽光発電の導入ができるとか、この設備を変更することでエネルギー効率が上がる、という何百項目もの改善リストを作成しました。対象設備や効果・費用を具体化することで、事業の投資判断が容易になったと考えています。

-削減実績を管理する上での課題などはありますか?

課題ということではないのですが、気を付けているのはデータの管理、特に「CO2排出係数」の管理です。例えば、2019年度のCO2排出係数は、確定値がようやくこの2021年の1月に公開されました。それ以前は暫定値で計算しますが、この管理をキッチリしないと、後々で数値の不整合が発生します。確定値が公表された時点で遡って変更すべき数字、暫定値のままで残しておくべき数字。さまざまな数値を何に基づいて算出したのかを正確に管理する必要があります。データに間違いが発生しないようにするために、データの管理と利用(開示)にルールを決めています。

世の中の変遷に応じ、排出量の削減目標を見直すことは、企業として必須

-では、プロジェクトを進める中で、先の長い話ではありますが、今この現状の活動の中でお気づきの課題や現状での対策などを教えてください。

冒頭でもお話ししましたが、2020年度に4%の削減目標に対して、2019年度実績で33.7%の削減ができましたので、数字的にかなり上回っています。これについてはオムロンのホームページの主要ESGデータに掲載しております。このように数字だけを見れば、目標に対して減っていますので、それほど大きな課題があるとは思いません。ただ世の中の環境分野における政策動向がめまぐるしく変わっていきます。目標設定を行なった時は当時のSBTに準拠した、産業革命期よりも地球の平均気温の上昇を2°C以下に抑える、という「2℃シナリオ」に基づいて設定した2020年ー4%、2030年ー32%削減です。しかし現在は2°Cに基づいて設定している会社はほとんどありません。今から目標設定をされる会社では「1.5℃シナリオ」あるいは「Well Below2℃シナリオ」という、より排出量を削減していくシナリオで作られています。2018年はそれでよかったのですが、世の中が環境についてもっともっと力を入れなければ、と変わってきましたのでオムロンとしても10年後の目標の見直しが必要です。それも確実に今まで以上に厳しい目標設定をしなければならないでしょう。これが今の大きな課題と言えますね。

-目標を大幅に達成して困っていることはありますか?

ひとつ申し上げますと、この目標の基準値は絶対値です。2016年度の排出量250,000t-CO2が基準です。そしてこの先、当社の売り上げが1兆5000億円になっても2兆円になっても、この基準からどれだけ下げなさいという話になります。これがどういうことかというと、今、数字だけを見ると2016年度に対して2019年度は約34%の削減ができましたが、それはあくまでも今の事業の売り上げや構成での話です。もし今の事業の構成のまま、売り上げが2倍になったとしたら、実はCO2排出量も2倍となり、削減どころか増えてしまいます。それはもちろん許されません。オムロンとしてどんな事業をしていようが、基準に対して排出量を下げる。事業はもちろん成長させなければなりませんし、CO2の排出量は下げていく。困っていることではないですが、永続的にずっと継続してアテンションを落とさず推進していかなければならないと理解しておくことが重要なのです。

フルファンクションを持っているOFEはすごい

-最後の質問になりますが、対策としての太陽光発電システムの導入や照明の高効率化といったような形で非常に直接的に関わらせていただいているOFEについてお感じになっていることや、今後期待することなどをお聞かせください。

私から見たOFEの価値といいますか、すごいと感じているところについてお話しします。OFEは提案から機器の選定から設計・施工、そして納入が終わったら保守、保守をしながら次の提案を行い、それが済んだらポテンシャル診断も実施する。調査、提案、納入、保守、次の提案・・・というようにお客様の中に入り込んで、お客様の課題を一緒に解決してくれる。なおかつワンストップでフルファンクションを持っているので、OFE に任せたら希望もいろいろと聞いてもらえるだろうし、安心して任せられるというところがすごいと思います。これは大きなメリットだと思いますし、そういう強みがあって今も事業を伸ばされていると思いますので、ぜひそのやり方を継続していただきたいし、今以上に発展していって欲しいと思っています。