想定を超えた異常気象により、近年全国各地で甚大な被害が出ています。直近20年の被害額は、前の20年の2.5倍とも言われており*、それはまさに「気候危機」といえる状況です。*出典:環境白書2020/環境省
- 大災害による保険損害額の推移
- 震度5上の地震回数
大規模自然災害での電力停止期間
出所:内閣府防災情報のページより弊社にて作成
災害 | 震度 | マグニチュード | 発生日 | 電気停止期間 | 水道停止期間 | ガス停止期間 |
西日本豪雨 | - | - | 2018年6月28日 | 1週間 | 1ヶ月以上 | |
大阪北部地震 | 震度6弱 | 5.9 | 2018年6月18日 | 3時間 | 16時間後 | 4日後 |
鳥取地震 | 震度6弱 | 6.6 | 2016年10月21日 | 1日 | 大きな被害なし | 大きな被害なし |
熊本地震 | 震度7 | 6.5 | 2016年4月14日 | 1週間 | 1週間 | 2週間 |
東日本大震災 | 震度7 | 9.0 | 2011年3月11日 | 1週間 | 3週間 | 5週間 |
過去の大規模自然災害における電力停止期間でみると、例えば2018年の西日本豪雨では、被災地は1週間電気の供給が絶たれています。このようなことから、自然災害発生時の企業のBCP対策としては、最低でも3日、できれば1週間程度の自前による「電力の確保」が必要と言えます。
このように自然災害が多発している現状を踏まえ、企業側では非常時における電力確保の動きが加速度的に進んでいます。そして、こういった対策を積極的に進める企業が社会から評価され、取引先から選ばれるようになっています。
例えば、被災により電力供給が停止してしまった場合を考えてみます。
A社は「想定外のことが起こったため製品供給できません、復旧には1ヶ月以上かかります」
B社は「製品供給は一時的にストップしますが、翌日には再開できます」
と言いました。
この2社から取引先を選ぶ場合、どちらを選ばれますか?
A社の言い分も、想定外の事象があったことを考えると“仕方ない”と言えるかもしれません。しかし、取引先から見た場合、速やかに事業再開できるB社の方が安心して取引ができるのではないでしょうか。
この2社の違いは何なのか?それは「備え」の有無です。事前にリスクを想定し対策を打っている企業の信頼性は必然的に高まります。
気候危機と言われる現在、自然災害に対する「備え」は企業として対応すべき必須事項のひとつとなっています。
また、この「備え」は一般企業だけの話ではありません。特に医療施設や介護施設において、電力供給が断たれることは、致命的な問題になりかねません。やはり重要になってくるのは「備え」です。どんな電源を、何のために、どれくらい確保するのか、事前に準備しておくことが必要です。
BCPソリューションのポイントは電源確保
BCPソリューションにおいて、非常時にどの設備をどの程度バックアップするかの決定は重要なポイントです。重要負荷の特定、複数電源の確保に関して、当社ではお客様のニーズ・ご予算に合わせて適切なご提案が可能です。また、非常時だけではなく、平時の有効活用を考えることも重要です。蓄電池を活用したピークシフトやデマンド制御など、エネルギーコスト削減との両立についてもご提案させていただきます。
電源確保のポイント
電源確保の方法
電源を確保する方法は複数あるので、目的に合った方法を正しく選択する必要があります。例えば災害対策における電源確保で真っ先に頭に浮かぶのは「非常用発電機」ではないでしょうか。
「非常用発電機」は安価で導入しやすい一方で、非常時にしか使わないため、平時には何も生み出しません。初期費用を安く抑えることを優先するのか、平時の活用も含めた投資回収を優先するのかによっても選択肢は変わってきます。それぞれの特性を正しく理解し、何を目的に置くのかを明確にしておくことが必要です。
最適制御システムのイメージ
下図は、太陽光発電設備や蓄電池、空調設備や生産設備などを組合せ、EMSコントローラーにより最適な制御を実現するイメージです。例えば、工場における電力使用量の予測と、太陽光発電設備の発電予測から、蓄電池の運転計画を立て、最も効率的な電力の使い方を自動で制御することも可能になります。
『複合電源システム』により災害時リスクを軽減
有事における本社の事業継続に加え、地域の防災拠点としての機能を備えるために、災害対策の強化を図った企業の事例をご紹介します。
- 背景・課題
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- ■BCPソリューションを強化したい
- ■防災拠点として地域の期待に応えたい
- ■エネルギーコストを削減したい
- 導入の期待・効果
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- ■「複数電源システム」による事業継続対策の強化
- ■停電時における地域への電源提供の実現
- ■太陽光発電、蓄電池によるベースカット、ピークカット、CO2削減を実現
- 対策概要
- 太陽光発電システムと蓄電池、双方向EV充電器、非常用発電機を導入。
通常時は省エネに貢献し、非常時は非常用発電機や蓄電池を活用し事業継続、地域住民へ電源供給を可能にします。
「複合電源システム」により、1つの電源が停止しても、他の電源でそれをカバーすることで、より一層確実なBCPシステムとなっております。
- 通常時
- 通常時では日中、太陽光発電システムで作られた電気を蓄電池に溜め、電力会社からの電気をEV充電器に溜めておきます。
- 非常時:天候良好
- 停電時、太陽光発電システムと蓄電池が稼働するため電気供給が可能になります。簡単な操作で電池容量の大きいEV車からの電気供給も可能です。
- 非常時:天候不良
- 停電時、太陽光による発電が少ないため、非常用発電機にて必要量をカバーします。