施工主様情報
企業名 | ヤマエ⾷品⼯業株式会社 |
---|---|
創業 | 1950年12⽉(1871年5⽉創業) |
本社所在地 | 宮崎県都城市 |
事業内容 | 総合⾷品メーカー。醤油・味噌・タレ・つゆ・だし等からポン酢やドレッシング等の製造・販売 | ホームページ | https://yamae-foods.net |
施工内容
施工場所 | 本社⼯場 |
---|---|
施工内容 | 燃料転換を伴う⽼朽化設備の更新(蒸気ボイラー・ブラインチラー) |
施工期間 | 約4ヶ⽉間(2019年10⽉- 2020年01⽉) |
ヤマエ⾷品⼯業株式会社様(以下、ヤマエ⾷品)は、1871年5⽉、⽔と⾃然に恵まれた銘醸の地、宮崎県都城市に醤油・味噌の醸造業を創業、以来「⼯夫を重ねてよい品作り お客様の満⾜ 我が喜び」という創業者の教えをスローガンに、南九州という地域にこだわった地域密着型の商品を提供し続け、2021年には150周年を迎えます。「ISO 22000」⾷品安全マネジメントシステムの認証取得はもちろんのこと、地元に根ざす総合⾷品メーカーとして、その事業活動における環境への配慮は、ヤマエ⾷品の重要なミッションでもあります。そのような背景の中、環境対策に関する課題の解決に向けて実施した、A重油から都市ガスへの燃料転換を伴う、⼯場の設備更新について、その中⼼となって実⾏された⼯場⻑の⻄村栄⼀取締役にお話を伺いました。
導入までの背景 / 課題
− ⼯場⻑はどのような課題をお持ちで、いつ頃から設備の更新を検討されていましたか?
当社は醸造業で、歴史もあり、今年は創業150周年を迎えます。設備も⽼朽化したものが多く、古いものを⼤切に使うということは⾵潮としてありますが、省エネやオフィスのコスト削減などを考えると、必ずしもそれが良いばかりではない、と以前から感じておりました。そんな時、平成29年にCO2削減ポテンシャル診断事業の勧めがあり、初めてオムロン フィールドエンジニアリング(以下、OFE)さんにその取り組みをアドバイスしていただきました。それが設備更新の実施に⾄るひとつの⼤きなきっかけではありました。翌年、経済産業省のエネルギー使用合理化支援事業の補助金申請をリース会社さんと共同で行い、残念ながらそれは採択されませんでした。翌年、環境省の2019年度二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金で採択され、実施となりました。
− ⽼朽化した設備が多かったとのことですが。
例えば、今回更新したボイラーには50年前のものもありました。そのうえ燃料がA重油でしたので、環境問題が叫ばれる昨今では、今回のこの更新の際にまた重油ボイラーで更新すると、10年、そして、20年でまた更新・・となってしまうことは予見できます。 A重油はCO2排出も多く、また重油流出というリスクもあります。そのような危険リスクがいつも隣り合わせにあるような状況というのは、これから先、会社を運営していく後輩たちのためにも解消していくべきだという観点から、かなり以前より、どこかのタイミングで燃料を転換し重油のリスクを避けたいと考えておりました。重油を燃料として使うことによる環境負荷に対する影響を、企業として考えていかないと今後⽣き残っていかれないのではないか、と。
今は再⽣可能エネルギーなどを活⽤し化⽯燃料を使わない、といった傾向もあります。当社としてはA重油からガスに変えて多少なりともCO2削減に貢献することができてよかったと思っています。A重油を使っていた頃は排気ガスの中の硫⻩分が影響して周囲の建物に腐⾷が発⽣する、といった問題もありました。
− 環境への配慮を最も重視されての設備更新ですが、先ほどお話しに出た「補助⾦」も決め⼿のひとつになっていたのでしょうか?
補助⾦は決め⼿のひとつでした。補助⾦なしでの実⾏は厳しかったと思います。更新をしたいと思いつつも、最初は一度に全台更新せず、2回に分けて徐々にA重油からガスに転換する、という話もありましたが、ガス会社さんが当社のためにわざわざ、公道を⻑い距離でガス導管を引っ張ってくれましたし、使⽤量と⼯事費の関係がありますので⼀気に全部変えたと⾔う背景もあります。ガス会社さんのそういった協⼒も⼤きかったと思います。ガスを引くという話は10年以上前からあったんですが、そのために補助⾦も無しでボイラーを変えよう、というようには進めなかったのも事実です。ですから今回のタイミングは⾮常に良かったと思っています。
設備更新計画・施工について
− 施⼯パートナーとしてOFEを選んだ理由を教えてください
もともとリース会社さんからのご紹介で、OFEにCO2ポテンシャル診断をお願いし、それ以来ずっと当社の設備をみていただていましたので、当社のことを熟知していただいていると感じていました。ポテンシャル診断、補助金の申請、採択とずっと一緒に歩んできて、価格面もしっかり比較検討はしましたが、設計施工を他社さんに、というような考えはありませんでした。
− 施⼯にあたり、OFEからの提案や施⾏中のこと等でお気づきの点や満⾜度などを教えてください。
そうですね、⼤変危惧の多かった⼯事であったとは思いますし、当初は⼼配はしていましたが、実際は段取り良く計画的に実⾏していただいて、滞りなく終わっております。現場監督もよく来てくださって、予定変更等があればすぐに報告をしてくださったりコミュニケーションもしっかりとれていた現場だったと思っています。また安全管理の⾒地からも、出⼊りされる⼯事業者の⽅は⾮常に周知徹底されていて、⾒ていて⾮常に安⼼できたというところはありました。思っていた通りに仕上げていただき、⾮常に良かったと思っています。
− ⼯事に関してはある程度ご満⾜をいただけたということですが、⼯事が完成してから今⽇に⾄るまで、⽬⽴った効果のようなものは感じていらっしゃいますか?
そうですね、ずっと経過を⾒ているところです。A重油は燃料コストが安価です。それに⽐べてガスはコストが上がるなと思っていたのですが、実際前年からするとかなり下がっておりまして、効率の改善が⾮常に⼤きいです。燃料単価でのガス会社さんのご協⼒もありましたし、思った以上に効果が出て本当に良かったと思っています。また、ガスにしたことで燃焼する部分が⾮常にきれいで煤等が付着しません。そういったメリットもありますね。
− 燃料転換をされてから、従業員の皆さんの反応はいかがでしょうか
以前は炉筒・煙管ボイラーがあったので、ボイラーを取り扱う⼈が限られていたんですが、今回すべて貫流ボイラーに変えたことで重油の取り扱いがなくなりました。それもあって、ボイラーの専任者はもちろん、従業員たちの負荷がかなり減り、これも良かったと思います。
今後の展望について
− 更新も滞りなく終わり、効果も得られ、ひとまず安心されたと思いますが、工場長として、あるいは会社として、今後さらに行っていきたい対策等はまだまだありそうですか?
今後はやはり、エネマネ事業の時も一部出ていましたが、コンプレッサーの問題ですとか、コージェネタイプの発電機の話ですとか、排水処理の問題とか、挙げれば問題はいろいろあります。どれも更新するにはコストが多くかかりますので、今すぐに、と言うわけにはいきません。そういう意味では課題は残っていますし、工場としてはこうありたい、という理想ももちろん持っていますが、現実ではそうもいかないという感じですね。
− 地域としてはいかがでしょうか?宮崎県は九州地区ということで、⾃然災害、主に台⾵等が多いですが、そういった有事に操業を⽌めないことを前提としたBCP対策等もお考えかと思います。そういった視点でのお考えをおきかせください
例えば今年は新型感染症の流⾏によってサプライチェーンに乱れが発生しています。当社はおかげさまでそれについては今のところ⼤きな問題もなくクリアしておりますが、⾃然災害に対するBCPについては、当社の裏側には河川があり、1番のリスクとしては⽔害が考えられるのです。これを考慮し、新しい設備について、かさ上げをして設置するといったことで⽔害に備えています。今回の設備更新についてもボイラーを通常よりも⾼く設置したり、チラーについてもかさ上げをして設置しました。
BCPは⾮常に難しいと思います。例えば⽔害だけでなく地震などもありますが、その時に従業員がどういった⾏動をするべきなのか、通勤途上であったり、あるいは⾃宅、また職場にいてどう⾏動したらいいのか等、いろいろなパターンを考えていくと⾮常に難しいという壁にぶつかります。また、発電機を⾮常⽤に使えるようにしておかなければいけないと思います。重要なところに発電機で電気を送れるように、というような対策を考えなければいけないと思っています。都城市は地震等による大津波が発生した場合、沿岸部の方々が避難してこられる地域でもあり、当社は⾷品メーカーですから有事の際には地域への貢献として当社の商品を提供するといった役割も担うことになります。
ご要望事項の実現
ヤマエ食品工業様では、環境省補助金を活用してボイラー・チラーの更新工事をさせていただきました。
工事の実施にあたっては、2017年の診断からスタートし、お客様・リース会社様を含め、幾度も検討を重ねて参りました。計画検討から施工中に至るまで、工場長や工務課の方々をはじめたくさんの方々にご協力をいただき、本当にありがとうございました。
今後も、ヤマエ食品工業様の操業200年に向け、エネルギーやBCPの課題に対し力添えできるよう取り組んでいきたいと思います。オムロン フィールドエンジニアリング株式会社
エネルギーマネジメント事業本部 EMエンジニアリングSE部 EMエンジSE2課
西田 秀平