施工主様情報
企業名 | 社会福祉法人北星会<特別養護老人ホーム天橋の郷> |
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設立 | 昭和51年10月8日<施設開所:平成17年5月1日> |
本部所在地 | 京都府宮津市 |
事業内容 | 特別養護老人ホームの経営、老人短期入所事業の経営、老人デイサービス事業の経営など |
ホームページ | https://hokuseikai.or.jp |
施工内容
施工場所 | 特別養護老人ホーム天橋の郷 |
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施工内容 | 施設内の空調システム、照明設備の更新工事 1)電気式(EHP)、ガス式(GHP)による「ハイブリッド空調システム」の導入 2)全館の照明のLED化 |
施工期間 | 2020年10月より2021年3月 |
社会福祉法人北星会様は、地域の福祉ニーズに目を向け、新たな福祉サービスの創造に努め、誰もが暮らしやすい地域づくりに貢献することを基本理念とし、昭和51年に設立。現在は宮津市を中心とした地域において特別養護老人ホームなど介護・福祉を担う6つの施設を運営されています。そのひとつである特別養護老人ホーム「天橋の郷」は平成17年の開所からすでに15年余りが過ぎ、数年前から悩まされていた設備の老朽化に伴う不具合やランニングコスト高の問題解消のため、ハイブリッド空調システムの導入と照明の全館LED化を実施されました。今回は設備更新について「天橋の郷」で当時施設長を務められ、現在は北星会の法人本部事務局の前田事務局長にお話を伺いました。
社会福祉法人北星会について
− まずは社会福祉法人北星会様について、その概要や理念などをお聞かせください。
この法人は昭和51年に設立いたしました。デイサービスセンターの開設は京都府内でも古く、特別養護老人ホームについてもこの地域で長く事業を展開させていただいております。この地域でご活躍いただいた医師の吉岡均ニ先生が、住民の方々が安心して暮らせるように、健康管理をはじめとするさまざまな支援を図りたいという思いで設立され、その意志を今出理事長が引き継いでいただき運営しております。そのような経緯もあり、運営する各施設の入居者のみなさまをお支えするだけでなく、近隣に暮らす方々の福祉や介護、地域交流の拠点といった側面において中心となっていきたいと考えております。
導入までの背景 / 課題
− 今回の設備の更新をご検討されたきっかけや、お持ちになっていた課題感について教えてください。
ひとつは2018年にこの地域に降った大雨で、天橋の郷に続く道が遮断されてしまうといった事態に見舞われたことで、そのような非常時であっても施設として“自立”できるようにしなければいけないと感じたことです。例えば、停電してもご入居いただいている方にご迷惑をおかけしないように電源を確保しておかなければ、と。また、施設自体も開所してからすでに15年以上経っていますので、毎年のように空調設備に不具合が起こり、そのメンテナンス費用も高額になっていたり、施設の照明が消費電力の多い蛍光灯のままで、その製造が中止になるといった情報もありました。早めに改善をしなければならない課題を複数抱えていたことがきっかけです。
− 導入の検討プロセス、最終的にオムロンフィールドエンジニアリング(以下OFE)をパートナーにされた経緯をお聞かせください。
天橋の郷は空調全体をLPガスで賄っておりましたので、ガス代や大雪時のプロンガスの運搬に課題感があり、当初は空調設備をすべて電気に変更しようと考えていました。ですからその仕様をプレゼンテーションいただこうということで、以前に、当法人が運営する介護老人保健施設「リハ・ヴィラなぎさ苑」の空調設備の更新工事をお願いしたことのあるOFEを含め、数社にお声がけをさせていただきました。その際OFEからは、施設において日常的にずっと使い続けているエリアについてはメンテナンスの必要が少ない電気式(EHP)に更新し、運転時間の比較的少ない共用部については今まで通りのガス(GHP)を利用するという、それぞれの特徴を生かした「ハイブリッド空調システム」のご提案をいただきました。
ハイブリッドなら全館EHPまたはGHPで対応する場合のどちらと比較しても、CO2削減とエネルギーコスト削減、またトータルコストのどれをみても効果が高くなると。率直に言って非常に面白い提案だと思いました。加えて、災害対策のバルクを設置をすれば経済産業省の補助金(*)を活用し初期投資費を低減できるというご提案もいただきました。
(*)災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金
− その提案が決め手となったのですね。
そうですね。停電時にGHPの運用継続が可能な災害用バルクとLPガス発電機を導入することで災害対策も叶いますし、施設利用者や職員だけでなく、地域に暮らす方々にとっても何かお役に立つことができるのではないか、地域に対しての役割を果たせるのではないか、と感じました。先ほども申し上げましたが、私たち社会福祉法人が地域に対しさまざまな役割を果たすべきである、ということはずっと考えていましたし、当法人の理事長から地域のために働くようにと指示を頂いています。そのような中でのOFEからのご提案でした。
− 地域に対する貢献として「避難所」としての役割を持つ、というのはもともと考えていらっしゃったのでしょうか?
天橋の郷は特別養護老人ホームですので、当然、要援護者の避難所ではあります。私が天橋の郷に着任し、施設の周囲を見たときに、港町で海が近くて非常に綺麗な場所だと思いました。その上で、例えばこの場所に災害が起きて、もし高潮が来たら、天橋の郷が「避難所」としての機能を果たす必要があるのではないか、とも思いました。天橋の郷というのはこの地域でも少し標高の高いところにありますので、万が一の際に地域のみなさまが避難できる場所であれば、この地域にとって大きな役割を果たせるのではないかと考えています。ですから積極的にその役割を担い、地域の方にそれを認めていただけて、いつまでもここで事業をしてほしい、と思っていただけるような施設づくり・運営を行いたいと思っています。
− 設備更新だけでなく、地域貢献にもつながる今回の提案がポイントとなったわけですね。では約半年間の実際の施工期間に、施工パートナーとしてのOFEをどのように感じられましたか?
OFEは多くの施工実績を持っていらっしゃるということもあり、こちらの依頼に対し的確に応えていただけたと思っています。入居者がいる施設の工事ですので、例えば各居室への入室の際は適切に声をかけていただいたり、入浴の時間を避けての施工スケジュールにするなど、入居者の安全や生活の快適さを損なうことのないよう十分配慮していただけたので非常に助かりました。工事内容の変更もお願いしましたが、真摯に対応していただいたと思っていますし満足しています。
今後の展望・取り組みについて
− EHPとGHPによるハイブリッド空調システムをはじめ、今回の設備更新の効果はいかがですか?
空調の工事そのものは1月には終わっておりましたので、その結果をみると、ガスの使用量が大幅に減っているのはもちろんで、電気料金は少し上がりましたが、全館の照明をLED化したことでコストそのものは非常に抑えられています。出来たばかりですが想定通りのエネルギー削減効果は概ね出ていますので、今後も期待できると思っています。
− 入居者様のご反応はいかがでしょうか?何かお気づきの点はございますか?
照明をLEDに変えたことで施設全体が非常に明るくなりました。これは入居者のみなさまに非常に良いこととして感じていただけているようです。それと空調も新しくなりましたから、非常に暖かくなって過ごしやすくなったのだと思います。
− それは良いことですね。喜ばれているのですね。それでは最後に、天橋の郷がこの地域に貢献できるようにという思いも含め、社会福祉法人として今後の対策や展望を教えてください。
天橋の郷には地域のみなさまと防災計画等を含めて連携をしていけるだけの設備を導入することができましたので、今後ますます地域に対する貢献を進めていきたいと考えております。社会福祉法人や特養施設といったものが地域に対して果たすべき役割というのは年々大きくなっていると思います。ですから電気とガスによるハイブリッド空調システムを導入したことは本当に抜群のタイミングだったと思います。今回のような考え方は今後の設備の運用や更新の場面で応用できると思っています。私たちのような施設がきちんと“自立”して、平常時も有事の際にも入居者様にご不便を感じさせないようにしていきたいと強く思っています。
[2021.04.21]
ご要望事項の実現
天橋の郷様から当初ご相談いただいたのは空調の老朽対策についてでしたが、お話を伺う中で、メンテナンス費用が大きなご負担になっていること、災害対策に不安を持たれていることなどが分かり、今回のシステムを提案させていただくに至りました。
弊社のご提案が、天橋の郷様の安心・安全、快適性の向上、ひいては宮津市の地域の安心・安全に繋がれば、これ以上の喜びはありません。
オムロン フィールドエンジニアリング株式会社
エネルギーマネジメント事業本部 EMエンジニアリングSE部 EMエンジSE2課
宮崎 鉄也