【2024年最新】太陽光発電の設置にかかる費用は?
導入事例もご紹介!
気になる費用を大公開!設置からメンテナンス、削減方法まで
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2024年最新!太陽光発電の設置に必要な費用相場は?
いざ太陽光発電を検討しよう!となった際、多くの方が気にされるのが費用のことです。今回は気になる初期費用やメンテナンス費用など、費用に関する情報について詳しくご紹介していきたいと思います。まずはざっくりと、産業用と家庭用の太陽光発電の設置費用相場をご説明していきます。個々の費用についての解説は後半にありますので、ぜひ最後までご覧いただけましたら幸いです。
産業用太陽光発電の設置に必要な費用相場
産業用太陽光発電のシステム費用について知る前に、産業用太陽光発電は設置する面積や容量によってかかる費用が大きく異なるということをお伝えしておかなくてはなりません。産業用太陽光発電はシステム容量が10kW以上のものを差しますが、1000kW以上のものまで幅広く存在します。そのため、相場を知るには「1kW当たり」で知ることが最も考えやすくなります。
<参考リンク>
出典 資源エネルギー庁「太陽光発電について」2021.12 P25.(2)国内のコスト動向:システム費用(設置年別の推移)
2021年度太陽光発電システム費用の相場(設備費・工事費含む)
容量 10~50kW 25.5万円/kW
容量 50~250kW 18.3万円/kW
容量 250~500kW 17.2万円/kW
容量 500~1,000kW 17.6万円/kW
容量 1,000kW以上 20.5万円/kW
経済産業省が公開しているデータによると、2021年に設置されたすべての産業用太陽光発電システムのシステム費用の平均値(単純平均)は25.0万円/kW(中央値は24.2万円/kW)となり、前年より0.5万円/kW(1.9%)低減したとされています。今後もしばらくは低減の傾向が見られると予測されています。
システムが大規模になるとある程度コストは効率化されるため、50kW以上の太陽光発電システムになると17~18万円/kW程度にまで圧縮することが可能です。100kW以上になると設置費用が20万円/kWを超えますが、この理由は1000kW以下は屋根上設置が多く設置費用が安く抑えられるのに対し、1001kW以上は野立て設置の割合が増え、土地造成費などが上積みされるためです。これらはあくまでも参考値で、設置環境や設置方法(野立てか屋根設置かなど)によっても最終価格は大きく異なってきます。太陽光発電をどのように活用するか、設置面積をどこに確保するのかによって最終的な電力効率は異なってきますので、相場にとらわれすぎないことが大切です。
住宅用太陽光発電の設置に必要な費用相場
経済産業省が発表しているデータによると、住宅用太陽光発電のシステム費用は新築同時設置・既築住宅への追加設置ともに低減傾向にあるとされています。費用設置の相場は、新築・既築を合わせた全体で見ると1kWあたり28.8万円です。住宅用太陽光発電はシステム容量10kW未満という決まりがありますが、費用面や設置面積の関係で現在の主流は3~5kWとなっていますので、単純計算で86.4万~144万円が設置費用の相場と考えられます。
<参考リンク>
経済産業省 令和4年度以降の調達価格等に関する意見
太陽光発電に必要な設備は?目安価格もご紹介!
太陽光発電システムの費用には何が含まれているのでしょうか。ここでは目安としての、代表的な費用項目を挙げていきたいと思います。
経済産業省「事業用太陽光発電のシステム費用の規模別の推移(システム費用の内訳)」を見ると、システム費用は大きく設備費と工事費に分けられることがわかります。また、設備費は主に、以下のように分かれています。
・太陽光パネル
・パワーコンディショナー
・架台
・その他の機器(配線やモニターなど)
<参考リンク>
出典 資源エネルギー庁「太陽光発電について」2021.12 P24.(参考)国内のコスト動向:資本費およびその構成(規模別動向(全設置期間))
上の図は、システムの容量によってコストの構成比がどのように変わるかと言うことを示した図です。どの容量においても、設備費(システム費用から工事費を除いた金額)のうち太陽光パネルは大まかに50~60%くらいの費用を占めています。パワーコンディショナーと架台とその他の機器はそれぞれ10%~13%くらいで同じくらいの割合です。太陽光パネルに大きな費用がかかるのは致し方ないところですが、規模が大きくなればなるほど太陽光パネルの全体に占める割合は下がっていきます。だいたいの費用感として、システム容量が100kWより少ない場合はパネルコストが割高になり、250kWを超えるとパネルコストが割安になるという傾向があります。
<参考リンク>
経済産業省 令和4年度以降の調達価格等に関する意見
太陽光発電の設置後にかかる費用について
メンテナンスにかかる費用
太陽光発電システムは保守点検が必要です。この作業のことを「O&M(Operation & Maintenance)」と呼びます。一般的に、メンテナンスと言うと台風や洪水などで破損した場合の補修作業を想像される方もいらっしゃいますが、太陽光発電システムにおける最大の課題は「発電量の損失(発電ロス)」の発見です。電気は目に見えないものなので、多くの場合は気が付かないうちにロスが発生してしまい、その結果使えるはずだった電力の損失を生んでしまいます。これを防ぐのがO&Mの大きな役割です。
降雪や倒木など、突発的な事故や気象変化によって発電ロスが発生した場合は分かりやすいですが、小規模な影や小動物によるパネル破損などは変化も小さいため、なかなか気が付きません。そんなとき、データによって通常時との差異をいち早く発見できれば、電力の損失も最小限にとどめることができます。
オムロン フィールドエンジニアリングが提供するO&Mサービス「ソラモニ」は独自のアルゴリズムによる分析ツールで異常を分析し、発電異常の原因特定やしかるべき対処法まで判断します。遠隔監視システムによる自動監視に加え、ヘルプデスクで専門技術員がダブルチェックすることで、かかりつけの医師のように異常傾向を検出します。
もちろんこれらのメンテナンスには費用が掛かりますが、それ以上に発電ロスを防ぐことは太陽光発電システムにとって大変重要なのです。
ソーラーパネルの撤去にかかる費用
経済産業省によると、太陽光発電の撤去時にかかる廃棄費用の総額は導入決定時の価格の約5%と見積もられています。内訳としては、スクリュー基礎(太陽光発電を野立てするときに、地面に打ち込むねじ杭のこと)の撤去費用として1.0万円/kW、コンクリート基礎(太陽光発電の架台を組み立てる土台として、型枠にコンクリートを流し込んで作った基盤のこと)の撤去費用として1.4万円/kW、太陽光パネルの廃棄費用として0.57万円/kWとして想定されています。
太陽光パネルには鉛やセレンなどの有害物質が含まれるため、放置や不法投棄を避けて適切に処理されなくてはなりません。そのため2022年7月、再エネ特措法の改正に伴い、太陽光発電の認定事業者に対して解体費用の積立が義務付けられました。
太陽光発電システムの導入には、設置時だけでなく撤去時の費用もしっかりと把握しておくことが必要です。
<参考リンク>
経済産業省 「太陽光発電設備の廃棄等費用の積立てを担保する制度に関する詳細検討②」
資源エネルギー庁「廃棄等費用積立ガイドライン」
保険料
太陽光発電システムは屋外設置となるため自然災害などの影響を受けやすくなります。一般的に破損などの損害や修理費用はメーカー保証の対象外です。そのため別途保険に加入する必要があります。保険の種類や対象設備にもよりますが、保険料は一般的に初期費用の3%程度と言われています。
パワーコンディショナーの交換費用
パワーコンディショナー(パワコン)とは、生み出した電力を使えるように変換する装置のことです。パワコンは太陽光パネルに比べて寿命が短く、太陽光パネルが限界を迎えるまでに最低1回はパワコンの交換が必要になってくると言われています。もちろん交換するタイミングで性能が上がっていれば、電力の変換効率も上がる可能性があるため、悪いことばかりではありません。パワコンの相場も10~50万円程度と様々ですが、念のため交換することを見越して見積もりに入れておくことが大切です。
固定資産税
住宅用の太陽光発電設備は基本的に固定資産税の対象にはなりません。ただ、10kW以下であっても賃貸経営など、事業収入に結びつくものであれば課税対象となります。さらに屋根の一部に太陽光パネルを貼り付けるなど、住宅の一部として取り入れる際には課税対象となる場合もあります。住宅用の場合は基本的に固定資産税の課税対象外であるが、用途や設置方法によって課税対象となる場合があると覚えておくと良いでしょう。
一方、産業用の太陽光発電設備は基本的にどんな用途であっても固定資産税の対象となります。太陽光発電設備は償却資産であり、法定耐用年数は17年と定められています。初年度の減価率は0.064、それ以降は0.127と定められているので、取得金額が仮に1000万円だった場合には初年度には64万円が減価償却費となり、課税標準額は936万円となります。この936万円に課税されるわけですが、固定資産税の標準税率は1.4%(2023年2月時点)となりますから、初年度の課税額は131,040円となります。
減価償却を続けていき、課税標準額が150万円を下回るとその年以降は課税されなくなります(免除されます)。
太陽光発電設備と同じように、設置した土地にも固定資産税がかかりますので見積もっておくことが必要です。
太陽光発電の費用対効果について
太陽光発電には初期費用やメンテナンス費用、撤去費用までかかると聞くと、果たして収益や自家消費にうまくつなげられるのだろうか?と不安に思われる方もいらっしゃると思います。確かに太陽光発電は費用がかかります。しかし日本の脱炭素事情、電力資源である化石燃料の輸入事情を考えると今後も電力コストが増大していくのは必至です。さらに国際情勢の不安定さや突発的なパンデミック、自然災害などの不確定要素を合わせると、早期に行動を起こすことがいかに大切かということをお分かりいただけるかと思います。
太陽光発電システムの導入は、エネルギー自給の第一歩です。もちろん環境保護や売電による利益享受は理想的な姿ですが、それよりも前に電力の他者依存からいかに脱却し、自立と安定につなげられるかと言う大変難しい課題があり、その解決法のひとつとして太陽光発電があるという捉え方のほうが、ご理解を頂きやすいかもしれません。
政府や各省庁もこの難しい課題をクリアするために、様々な政策や補助金を出して普及を促進しています。私たちも持てるノウハウを最大に活かして、お客様にとって最大の費用対効果を提供できるよう最善を尽くしてまいります。
太陽光発電の設置費用は回収可能?
元を取るために必要な期間は?
それでは具体的に、どのようなシミュレーションをもって費用回収の目途をつけるのでしょうか?一般的に、太陽光発電の費用は10年を目安に回収する場合が多いようです。これまでに述べてきたような必要コスト
・システム導入費用
・O&M費用
・保険
・パワーコンディショナー交換費用
・固定資産税
・撤去費用
これらを見積もったうえで経済的メリットである
・電気料金削減額
と照らし合わせ、だいたい10年前後で黒字転換するようであれば現実的であると言えるでしょう。ただこれはあくまで一般的な話であり、規模や発電量などによっても予測は異なってきます。太陽光発電に最も大切なことは、長期間安定した電力確保を続けることです。費用回収を急ぐあまり故障や破損が多くなってしまうことのないように、品質の良いシステムとO&Mを導入されることをおすすめ致します。
太陽光発電の設置費用を削減する方法は?
自治体の補助金制度やPPAモデルを活用する
太陽光発電に関しては国もサポート体制を充実させる方針です。導入する際、自治体の補助金制度があるかどうかを確認しましょう。補助金の活用は得策ではありますが、申請作業に時間や手間がかかるうえに不採択となるケースもあります。メリットやデメリットをしっかりと理解した上で活用することが大切です。
自治体や民間の事業者によってよく提唱されているのが、PPAモデルによる太陽光発電システムの導入です。PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルとは、企業や個人の敷地にPPA事業者が無償で太陽光発電システムを設置し、維持管理する代わりに、発電した電気をその企業や個人に売ることができるという仕組みです。
PPA事業者は太陽光発電システムを設置・維持する責任がありますが、その代わりに安定して電力を購入してくれる顧客を確保することができます。このシステムの企業側から見たメリットは、無償で太陽光発電システムを設置、維持管理してもらえるうえに、電力を比較的安く手に入れることができる点にあります。足りない分はもちろん従来通り電力会社から購入できます。さらに、契約期間が終了したあとは太陽光発電システムを無償譲渡してもらえる場合もあります。
業者を厳選して相見積もりをとる
太陽光発電システムの販売業者は数多くありますので、様々な業者の情報を集め、見積もりを取り比較することも大切な過程です。低価格導入でメンテナンスフリーを謳う業者、しっかりとしたメンテナンスで長期安定供給を目指す業者など、その会社独自の方針がありますから、その方針を価格と照らし合わせてよく理解し、納得して導入することが大切です。方針や目的を見失い、安易に安い業者を選んでしまうと太陽光発電はメンテナンスや廃棄にまで費用が掛かるため大変痛い目に合うこともあります。目的をしっかりと見定め、キャッシュフロー計画を立てたうえで計画に見合った提案やシミュレーションをしてくれる業者を選びましょう。
見積もりを取る際、困りごとや解決したいこと、期待することなど情報提供はなるべく惜しまずにすることも大切です。と言うのも、太陽光発電に至る前段階の「工場の冷房費が高すぎてなんとかしたい」などという困りごとを一気に解決できる可能性があるからです。後ほどオムロン フィールドエンジニアリングにおける企業様の導入事例をご紹介しますが、設計を工夫することや、他の解決法と組み合わせることで効果的なソリューションに繋がるケースもあります。
太陽光発電の導入は単なる発電装置の設置にはとどまりません。特に事業(住宅の場合は生活)の安全管理や困りごとの解決とは密接につながっています。その解決のために私たちは日々、ノウハウを蓄積し様々なシミュレーションをご提案し続けています。
低価格の太陽光パネルを選ぶ
太陽光発電システムで最も費用がかかるのは太陽光パネルですので、太陽光パネルを低価格にすることで費用を圧縮するというのもひとつの考え方です。ただ、圧倒的に低価格な業者が存在するかと言うと、それは考えにくいというのが業界の現状です。なぜかというと、太陽光発電システムの価格設定に関しては国が積極的に介入し、各事業者に対して低価格化を強く推進しているからです。
電力資源の乏しい我が国にとって、太陽光発電の設置推進は待ったなしの急務と言っても過言ではありません。そのため政府は専門家会議を開き、太陽光発電設置費用についておおよその目標価格を定めています。この目標価格に応じて各社が製品を生産するので、高い太陽光パネルは存在しにくいのです。
このような背景から太陽光パネルはどこの事業者も総じて価格低減化の努力を重ねており、比較的安心して選べるようになってきています。むしろ価格よりも大切なことはメンテナンスやノウハウなどトータルに優れた業者を選ぶことです。太陽光発電は設置がゴールではありません。長い目で見て、より信頼できる業者と効率の良い太陽光発電を行うことが大切です。
今からでも太陽光発電は設置するべき?
ポイントは脱炭素!法人が太陽光発電を設置するべき理由
ある日突然「太陽光発電を設置しよう!」と思い立つ人や企業はなかなかいらっしゃらないかもしれません。太陽光発電を導入したご家庭や企業の多くは、(もちろん日頃から環境貢献意識の高い方が多いですが)それと同時にかさむ電気代に悩まされたり、生産原価をなんとかして低減できないかと取り組む方であったり、災害や停電など急な電力不足に悩んだ経験のある方です。
しかも時代はDXが進んでおり、その稼働に電力は必要不可欠です。電気と人、電気と情報のつながりが深くなればなるほど電力の自家調達の必要性は高くなります。そしてその手段として太陽光発電は大変現実的な手段なのです。
太陽光発電の良さはこちらでも詳しくお伝えしています。
産業用太陽光発電の事例
事例① 株式会社村田製作所 様
電子部品を主力とする企業として世界トップクラスの実績を持つ株式会社村田製作所様。環境安全部を設け、2012年のFIT制度開始からいち早く太陽光発電を導入してこられた環境貢献に積極的な企業です。そんな村田製作所様が導入されたのはカーポート型の太陽光パネルです。日照条件も良く面積も確保できる大型駐車場で、車を守る「カーポート」と「太陽光発電」を同時に設置しようというのは大変ユニークな発想でした。両面パネルをご提案することで、空からの太陽光だけでなく、地面の反射光も利用することができ効率の良い電力供給を実現しました。
事例②:新田ゼラチン株式会社 様
大阪府でコラーゲンを原料とした製品の製造・販売をしていらっしゃる新田ゼラチン株式会社様。創業100年以上を数える、歴史ある企業です。畜産業や水産物の恵みから人々の豊かな生活を実現する製品を作る過程で、地球環境の保全やサステナビリティに寄与するたくさんの取り組みをされて来られました。新棟の建設にあたり、屋根の上に太陽光発電設備を導入することでCO2排出削減効果や災害停電時における電力確保を実現しました。
事例③:株式会社三福様
大手自動車メーカーへ高精度・高品質な製品を納めてこられた三福様。製造業における厳格な安全対策と環境対策に日々積極的に取り組んでこられました。そんな中で特に強い使命として取り組んでこられたのが、省エネや生産原価低減についてです。
太陽光発電のセミナーに積極的に参加される中、太陽光発電システムの設置は遮熱効果もあるという情報を得られました。ちょうど工場に遮熱塗装をする計画があり、遮熱塗装をするくらいなら太陽光発電を載せればいいじゃないか、ということで辿り着かれたのが太陽光発電でした。常日頃から省エネや生産原価低減に積極的に取り組まれてきたからこそ辿り着いた解決法であり、それによって環境負荷軽減にまで貢献されたことは大変すばらしい成果となりました。
まとめ
日本が脱炭素社会を実現するシナリオにおいて、太陽光発電は重要なカギを握っています。それは脱炭素社会を実現するだけでなく、日本の電力自給率をあげ、他国に頼らないエネルギー供給を実現するためにも必要です。企業や国民のひとりひとりがエネルギー政策について真剣に考え、未来のために取り組んでいくこと。
その意志と行動力が日本の明日を切り開いていくことでしょう。
【執筆者情報】
脱炭素ソリューション.com 編集部
脱炭素ソリューション.comが運営する「エネタメ」は、オムロン フィールドエンジニアリング株式会社のエネルギーマネジメントに関する豊富な実績とノウハウを活かした専門的な情報や、再生可能エネルギー、蓄電池、災害対策、省エネソリューション、補助金などのコンテンツを中心に、脱炭素化/カーボン・ニュートラルの取り組みに役立つ情報を発信しています。