産業用太陽光発電のメリット・デメリットを徹底解説!
導入事例の紹介も!
産業用太陽光発電とは?その仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説。
太陽光発電の仕組みについてわかりやすく解説
「太陽光発電を導入すれば省エネにもなるし、事業としても採算が取れそう。でも太陽光発電って実際どうなの?リスクやデメリットはないの??」そんなイメージをお持ちの方に、今回は太陽光発電について、メリットやデメリットも含めて詳細にご説明いたします。
太陽光発電とは『太陽の光のエネルギーを、電力に変えるしくみ(発電機)』のことです。あのキラキラと輝く太陽の光を、どのようにして私たちの使う電力に変えているのでしょうか。そこには、半導体と呼ばれる物質が大切な役割を果たしています。
太陽光発電に欠かせない!半導体とは?
半導体というのは、「電気を通す物質(導体)」と「電気を通さない物質(絶縁体)」の中間の性質を備えた物質を指します。ある物質がどのくらい電気を通すのか。その性質を測る基準として「抵抗率」があります。金や銀など、電気を通しやすい物質は抵抗率が低く、ゴムやガラスなど電気を通しにくい物質は抵抗率が高くなります。半導体の場合、これらのちょうど中間の抵抗率を示すことが知られています。そしてここからが重要なのですが、一般的に半導体は、温度など一定の条件によって抵抗率が変化する性質があります。たとえば、ある温度以上になると電気を通し、それ以下では電気を通さないというような性質です。そのため電化製品など、温度変化によって制御やコントロールをかけたい製品には半導体がよく使われています。もちろん太陽光発電にも半導体が使用されています。
2種類の半導体をはり合わせ、電気の流れを生み出すのが太陽光発電!
半導体の大まかな性質をご理解いただいたところで、太陽光発電のしくみに話を戻しましょう。太陽光発電に使用されるソーラーパネルには、2種類の半導体がはり合わされています。「N型半導体」と「P型半導体」です。
太陽の光がソーラーパネルに当たると、「N型半導体」には動きの活発な「伝導電子」が集まります。逆に「P型半導体」には伝導電子が集まりにくく、電子が足りない状態「正孔(せいこう)」が生まれます。この2つが接合すると、伝導電子が正孔へと逃げ出して、電気の流れが生まれます。これが太陽光発電の基本的な仕組みです。
住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電はどう違う?
太陽光発電は主に住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電に分けられています。出力10kW未満が住宅用、出力10kW以上が産業用です。
これは2012年に国が定めた「FIT制度(フィット制度/Feed-in Tariff)」により定められました。FIT制度とは再生可能エネルギーを買い取るための制度です。買取の際の基準として、住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電が区分されました。
太陽光発電のメリットとは?
1.環境保護活動として認知され、企業の評価が高まる
世界的な気候変動問題への関心や、それにともなうカーボンニュートラル(2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという日本政府の宣言)によって、各企業には早急な環境保護に向けての取り組みが求められています。太陽光発電は子供から大人まで幅広い世代に知られた、認知度の高い環境保護活動です。太陽光発電を取り入れることによって、一般の方々に企業としてしっかりと環境問題に取り組んでいることをアピールできます。
2.発電した電力を自社で利用することができる
太陽光発電の大きなメリットの一つが、発電した電力を自家消費することができるという点です。「脱炭素経営」という、環境保護と経営を両立させる取り組みがありますが、エネルギーコストを数字で捉えられる太陽光発電は、脱炭素経営を行ううえでも大変わかりやすい事例となっています。環境保護への取り組みを経営にも還元できれば、よりパワフルに、高い意欲と実践力をもって保護活動を進めることができます。
3.災害時の非常電力として担保でき、リスクマネジメントにつながる
地震・台風・水害…。災害大国と言われる日本では、リスクマネジメントは必要不可欠です。さらに昨今の国際的情勢や経済的な情勢を鑑みても、”もしもの時”への備えは今まで以上に必要だと言わざるを得ません。化石燃料からの脱却に伴うクリーンエネルギーへの需要が高まりを見せる中、IT化によるデバイスの増加など、電力への依存度は増すばかり。太陽光発電はクリーンなだけではなく、停電が発生した際でも事業活動を継続することができる大変安定した手段です。蓄電池を利用すれば、夜間の電力利用も可能です。
4.社員の環境保護マインドや省エネ意識を醸成する
環境保護は一日してならず。同じように脱炭素経営も、省エネ経営も一日で成し遂げられるものではありません。脱炭素への一番の近道であり、最大の難所は「社員の環境保護マインドを醸成する」こと。一人一人がコストカットやクリーンエネルギーへの道を追求することによって、大きな目標を成し遂げることができます。太陽光発電は環境保護活動の中でも比較的理解しやすく、受け入れられやすいものです。大きなソーラーパネルを目にすることによって、環境保護に直接関係のない部署の社員にも、自然と省エネやクリーンエネルギーへの興味関心マインドを育みます。
5.税制面や補助金、法制度での優遇がある
脱炭素経営や温室効果ガス削減など、環境保護へ向けての達成目標はいまや一般の人々や一企業に課せられたゆるやかなノルマではありません。すでに日本政府が「カーボンニュートラル」として世界に宣言した通り、日本政府として世界に向けて約束した「実現しなければならない課題」であり「絶対にクリアしなければならないハードル」でもあります。そのために、政府や各省庁は全力で企業をサポートし、後押しする体制を整えています。この追い風を受けられる今こそ、太陽光発電に乗り出すべき時といえるのです。具体的な優遇例として、中小企業経営強化税制(設備投資減税)やストレージパリティ促進補助金などがあります。
6.農地や土地を活用できる
利用していない農地や山林の活用方法として、太陽光発電は大変有効な手段です。発電した電力を自家消費することによって、しっかりとエネルギーコストを削減できます。特にメガソーラーと言われる大容量の太陽光発電を導入すれば投資回収のスピードも速くなり、投資回収後の売電収益も期待することができます。また、農地としてすでに利用している土地の上部にパネルを組むなどして太陽光発電を同時に行う「ソーラーシェアリング」も注目されています。発電された電力はビニールハウス内の暖房などに利用され、生産コスト削減にも貢献しています。
産業用太陽光発電のデメリットとは?
1. 導入費用が高額
太陽光発電は数あるクリーンエネルギー対策の中でも比較的初期費用が高額です。主にソーラーパネルやパワーコンディショナー(発電された電気を産業用に使用できる状態に変換する機器)パネルを載せる架台(かだい)にかかる費用となります。ただ、導入企業の増加によって初期費用は年々コストダウンする傾向にあり、より設置しやすい環境が近づいていると言えます。
2.メンテナンスや修理費などの維持費がかかる
他の多くの発電機器と同じように、太陽光発電もメンテナンス費用がかかります。時には悪天候や災害などにより一部が破損することもあるかもしれません。そのような際には修理費も必要となることでしょう。ただ、太陽光発電のメンテナンスの主な目的は「高い発電量を維持するため」であり、投資によって回収が見込めるとなれば、決して無駄な出費ではありません。
3.広大な土地が必要
太陽光発電に使用するソーラーパネルは、発電量が大きければ大きいほど設置する枚数が増えるため、必然的に広大な土地が必要となってきます。ただ、ソーラーシェアリングのようなすでに農地活用された場所での発電や、屋上やカーポートを利用した発電など、さまざまな活用事例が日々報告されています。広大な土地がないからといって諦めるのではなく、ぜひ専門家にご相談いただくなどして方法を探してみてください。
導入デメリットを軽減する解決策:PPAモデルの活用
導入コストの軽減方法として、PPAモデルの活用があります。PPAモデルとは、土地を所有する企業に電力事業者(PPA事業者)が太陽光発電などの再エネの設備を無償で設置し、発電した電力を長期で買い取る制度です。このモデルを活用することにより、企業の再生可能エネルギー導入に関する負担を軽減することができます。
▶PPAモデルについて詳しくはこちら
「今、注目のPPA・自己託送再エネ電力の新しい調達法」
運用デメリットを軽減する解決策:ソラモニなど保守システムの導入
見つかりにくい発電異常をしっかり察知する「ソラモニ」は、電力ロスにつながる発電異常の発見だけでなく、原因の切り分けや異常に対する対処の提案も行います。これによってメンテナンスも最小限で済み、常に高い発電力を維持することができます。
▶詳しくはこちらをご参照ください
「太陽光発電のO&Mサービス」
産業用太陽光発電を導入した事例のご紹介
CO2削減に加え、遮熱効果で職場環境も改善:株式会社三福様
大手自動車メーカーへ高精度・高品質な製品を納入されてきた三福様。製造業としての厳格な安全対策をはじめ、環境整備、原価低減などあらゆる方向性から常にヒントを探り続ける姿勢で売り上げを伸ばされてきました。導入のきっかけはセミナーに出席されたこと。太陽光発電が原価低減につながるだけでなく、遮熱効果によって労働環境を改善することを知り、大規模導入をご決断されました。毎年出ていた熱中症での救急搬送者が一人もいなくなるなど、その効果は「確実にあった」とご実感頂けています。
▶詳しくはこちらをご参照ください
「CO2削減に加え、遮熱効果で室内温度を3℃改善」
市内初、屋根設置メガソーラーの導入で電力供給:不二サッシ株式会社様
アルミを原料にサッシを製造していらっしゃる不二サッシ株式会社様。製造過程で非常に多くの電力を消費するため、CO2排出量への懸念は少なくありませんでした。環境負荷低減の一環としてグループ一丸となって思案された結果、太陽光発電システムが有効であるとのご決断をいただきました。導入の決め手は事業採算性とリスクマネジメントへの評価。電力の確保とともに、社員の安全安心を守るという観点から飲料水の確保システムも同時導入されたそうです。このことにより地元の自治体とも協定を結び、災害時に地域還元できるしくみも実現されました。
▶詳しくはこちらをご参照ください
「メガソーラーの導入で電力供給やCO2排出量の削減に貢献」
補助金活用で投資回収アップ:共英製鋼株式会社様
鉄鋼事業を中核に、溶融技術を生かした環境リサイクル事業を展開されている共英製鋼株式会社様。電炉を使用して鉄を溶融する際に出る熱を利用したリサイクル事業を行われているため、そもそも環境保護意識は非常に高い企業様でいらっしゃいました。グループで掲げる目標に向かってあと少しというときに、自家発電・自家消費の一環として太陽光発電システムを導入されました。電力を多く消費する業種でも、消費電力の一部を太陽光発電による自家発電・自家消費で賄い、事業採算性が担保できると判断いただき、導入を決断されました。
▶詳しくはこちらをご参照ください
「補助金活用で投資回収アップ、O&M「ソラモニ」の利便性に魅力」
太陽光発電についてのまとめ
一般的に認知度の高い太陽光発電ですが、そのしくみやメリット、活用方法などはまだまだ知られていていない部分も大きいのが実情です。セミナーや動画などをご活用いただくことで、各企業様により導入しやすい太陽光発電がきっと見つかるものと考えています。
クリーンで続けやすく、子供から大人まで親しみやすいイメージで受け入れられている太陽光発電。コスト削減力や収益性が高いのも魅力です。ご興味があればぜひ、太陽光発電についてご検討ください。
【執筆者情報】
脱炭素ソリューション.com 編集部
脱炭素ソリューション.comが運営する「エネタメ」は、オムロン フィールドエンジニアリング株式会社のエネルギーマネジメントに関する豊富な実績とノウハウを活かした専門的な情報や、再生可能エネルギー、蓄電池、災害対策、省エネソリューション、補助金などのコンテンツを中心に、脱炭素化/カーボン・ニュートラルの取り組みに役立つ情報を発信しています。