【完全ガイド】太陽光発電の年間の発電量はどれくらい?
地域・季節別の違いや計算方法を徹底解説
太陽光発電の発電量を計算しよう!
INDEX
太陽光発電の発電量とは?基本の仕組みを解説
太陽光パネルの発電の仕組み
太陽光パネルは、太陽光エネルギーを電気に変える装置です。パネルに使用されている半導体が光に当たることで電子が動き出し、電流が発生します。太陽光の「光エネルギー」を「電気エネルギー」に変換し、それを取り出して電力として利用するのが太陽光発電の目的です。
太陽光パネルの詳しい説明はこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
kW(キロワット)とkWh(キロワットアワー)の違い
kW(キロワット)は「瞬間的な電力の大きさ(=電気を出す力の強さ)」を表す単位です。一方、kWh(キロワットアワー)は「一定時間で使った(または発電した)電力量」を表します。
一般的にkWは発電システムの性能について説明する際に使用します。kWhはどれだけ発電(消費)したかという結果について説明する際に使用します。
太陽光発電の発電量はどうやって計算するのか?
太陽光発電の基本的な計算式は以下の通りです。
発電量(kWh)
パネル容量(kW)
日射量(kWh/m²)
システムの効率
■パネル容量(kW)
パネル容量とは、設置している太陽光発電システムの最大出力を指します。
最大出力とは、太陽光パネルが理想的な条件下で発揮できる出力のことで、「定格出力」とも呼ばれます。単位は通常kW(キロワット)で表されます。
■日射量(kWh/m²)
日射量(にっしゃりょう)とは、太陽から地表に届くエネルギー量を指します。
太陽光発電においては、この数値が高いほど発電量が増えるという目安になります。単位のkWh/m²は、「1平方メートルあたりに届いた太陽エネルギーが、何kWh相当か」を意味します。
■システム効率
太陽光発電のシステム効率とは、「太陽エネルギーを、どれだけ効率よく電気に変えられたか」を表す割合です。単位は%で表されます。
仮に、太陽から100のエネルギーが届いて、実際に電気として取り出せたエネルギーが80であれば、システム効率は80%となります。
太陽光発電システムはパワーコンディショナーや配線などいくつかの機器が複合的に関わっており、電力の変換や抵抗などによってエネルギーロスが発生します。太陽光発電システム全体の効率としては、75〜85%が一般的です。
効率を上げるには、太陽光パネルの設置方角・角度・影対策・温度管理が重要になります。
太陽光発電の発電量は上記に解説した数値(パネルの容量・日射量・システム効率)の数値の掛け合わせによって算出されます。では、発電量をあげるためにはどうすればいいのでしょうか。次章では、太陽光発電の発電量に影響する要因について解説します。
太陽光発電の発電量に影響する要因
太陽光発電の発電量は、様々な要因によって影響を受けます。要因は物理的なもの、環境的なもの、また設備そのものの要因などさまざまです。以下に主な要因を解説します。
自然環境的な要因
■日射量(太陽エネルギー)
最も重要な要因は、日射量です。地域差が大きく、日本だと九州〜沖縄が高く、北日本はやや低い傾向にあります。
■日照時間(晴れの日の多さ)
曇りや雨の日が多いと発電量が下がります。特に梅雨・冬季の日照時間が大きく影響します。
■気温(パネル温度)
太陽光発電は太陽のエネルギーを活用しますが、気温が高すぎると逆に効率が落ちるという特徴があります。一般的な太陽光パネルは25℃での性能を基準としており、それを超えると出力がやや下がる傾向にあります。特に夏場の猛暑日では注意が必要です。
■雪や黄砂、火山灰など
パネルの表面に雪が積もると光が遮られ、発電が一時的に停止することもあります。また、黄砂・火山灰・花粉などの微粒子がパネルに付着すると、光の透過を妨げ発電量が低下します。これらの要因が多い地域では、清掃や定期的な点検が欠かせません。
設備・設置条件の要因
■パネルの向きと角度
パネルの設置方角と角度も発電効率に大きく影響します。日本では一般的に南向きで、傾斜角度は30度前後が最も発電量を得やすいとされています。東向きや西向きでも発電は可能ですが、発電量はやや劣る傾向があります。
■影(遮蔽)の影響
建物や樹木、電柱などが近くにあると、パネルに影がかかり、発電効率が大きく低下します。特にパネルが直列接続されている場合、一部に影ができるだけで全体の出力が落ちることもあるため、事前の影のチェックが重要です。
■パネルの種類と変換効率
使用する太陽光パネルの種類(単結晶、多結晶、薄膜など)によって、光を電気に変える効率=変換効率が異なります。高性能なパネルは価格も高めですが、限られたスペースでも多くの電力を生み出せます。
■パワーコンディショナ(PCS)の性能
パワーコンディショナは、パネルが発電した直流電力を家庭で使える交流電力に変換する装置です。ここでも変換効率に差があり、性能が高いものを選ぶことでロスを最小限に抑えることができます。
メンテナンスと運用の影響
■パネル表面の汚れ
パネルの表面にほこり、鳥のフン、花粉などが溜まると、光の透過が妨げられ、発電量が落ちてしまいます。特に乾燥した時期や交通量の多い地域では、定期的な清掃が推奨されます。
■経年劣化
太陽光パネルは使用年数とともに少しずつ性能が落ちていきます。一般的には年間0.5〜1%程度の劣化が発生するとされており、長期的な導入計画にはこの点も考慮が必要です。
■設備トラブルや故障
パネルやパワーコンディショナなどの機器が故障しても、発電量の変化に気付きにくい場合があります。発電モニタリングシステムを導入することで、異常の早期発見と対応が可能になります。
地域・季節別の発電量の目安
全国の年間発電量の目安
1kWあたりの年間発電量の目安
太陽光発電は設置した容量(kW)に応じて、年間にどれくらい発電できるかが大体決まっています。日本全国の平均では、
1kWあたり年間 約1,000~1,200kWh
が目安とされています。この数値は設置地域や方角・角度、影の有無などによって変動します。
地域別の発電量の傾向
地域 | 年間発電量の目安(1kWあたり) | 特徴 |
---|---|---|
北海道・東北 | 約900~1,000kWh | 冬の積雪が多く日照時間が短め |
関東・中部 | 約1,000~1,100kWh | 比較的安定した日射量 |
関西・中国 | 約1,100~1,200kWh | 年間を通して晴天が多い |
九州・沖縄 | 約1,200~1,300kWh | 日射量が全国で最も高く、高効率 |
季節ごとの発電量の違いと目安
■春(3月〜5月)の発電量
春は太陽光発電にとって最も発電効率が高い季節のひとつです。気温が高くなりすぎず、パネルの変換効率も安定しています。また、晴天の日が多く、日射量も徐々に増えてくる時期です。特に4月〜5月にかけては、1年で最も発電量が多くなる月となることも少なくありません。日照時間・気温・天候のバランスが非常に良く、最も発電に適したシーズンと言えます。
■夏(6月〜8月)の発電量
夏は日射量が最も多く、日照時間も長くなりますが、意外にも発電効率が落ちやすい季節です。これは、気温の上昇によってパネルが高温になり、変換効率が下がるためです。また、6月は梅雨により曇天や雨が続き、一時的に発電量が大きく落ち込む月となります。7月以降になると梅雨が明け、再び発電量は上昇しますが、気温の高さには注意が必要です。
■秋(9月〜11月)の発電量
秋は春と同様に、発電条件が整いやすい季節です。夏に比べて気温が下がり、パネルの効率も回復します。9月〜10月にかけては台風などの天候不良が発生することもありますが、台風シーズンを過ぎれば比較的晴れの日が多く、安定した発電量が期待できる時期です。春と比べると日射量はやや劣りますが、トータルでは発電効率の良い季節といえるでしょう。
■冬(12月〜2月)の発電量
冬は1年の中で最も発電量が少ない季節です。太陽の高度が低くなり、日射角度が浅くなることに加え、日照時間も短くなります。また、曇天や雪の影響も大きく、特に積雪地域ではパネルに雪が積もって発電が一時的に止まることも珍しくありません。ただし、気温が低いことで変換効率そのものは上がるため、晴れた冬の日には意外とよく発電する場合もあります。
発電しても、すべてを使い切れるとは限らない?!
ビジネスにおいて重要なのは「余剰電力の活用」
余剰電力とは、使い切れない電力のことです。太陽光発電ではこの余剰電力が生まれやすいと言われており、この電力の活用次第でビジネスチャンスが生まれます。
太陽光発電は余剰電力が生まれやすい
太陽光発電は昼間の晴れている時間帯に発電量がピークとなります。しかし電気の使用は昼がピークとは限りません。発電量の多い時間帯に使い切れないと、余剰電力が生まれてしまうのです。発電した再生可能エネルギーが活用されないままになるのは、非常に残念な状況であり、活用の最適化が求められます。そこで、発電量と使用量を上手にコントロールすべく、蓄電池を活用する企業が増えています。
重要なのは「再エネ比率」のアップ
脱炭素経営やESG経営の必要性が高まっている中、企業にとって重要なのは「再エネ比率」のアップです。再エネ比率のアップは「地球環境にやさしい企業」というイメージを獲得するだけでなく、投資家や投資機関からの評価が高まる・中長期的な電力コストの削減につながるなど多くのメリットがあります。
再エネ比率の向上は、環境対策にとどまらず、企業の競争力や信頼性を高める手段として注目されています。
再エネ比率を最大化する方法
自家消費を増やす(売るより使う)
再エネ比率を最大化するためにまず検討したいのが、自家消費です。これは太陽光発電などで発電した電力を自分(自社)で消費することです。再エネ比率の最大化を目指している企業様にとって、自家消費は最大のソリューションとなります。
太陽光パネルを設置するスペースがない、という企業様でも、屋根やカーポートに太陽光パネルを設置したり、オンサイトPPA(PPA=電力購入契約:Power Purchase Agreement)やオフサイトPPAを利用したりすることで自家消費扱いにすることも可能です。
また、テナントビルであっても、ビル全体で導入された太陽光発電の一部をテナント企業が契約ベースで使用し、自家消費電力としてカウントするモデルもあります。
電力の使い方を変える(蓄電池の活用)
太陽光発電の発電量が多いのは昼であるため、ここにあわせて電力の使用量も集中させてしまおうという考え方も、再エネ比率を最大化するには有効です。
例えばEV充電や空調のプレクーリング(昼間に冷房を強めに稼働させて建物をあらかじめ冷やしておき、夕方以降の冷房負荷を抑える手法)、冷蔵・冷凍設備のプレチル/プレフリーズ(食品工場や物流倉庫で、日中に冷却・冷凍を集中して行い、夜間は省電力モードにする手法)をはじめ、水のくみ上げやボイラー設備、製造機械のスケジューリングなども有効です。
再エネ由来電力を選択する
自社で太陽光発電などの再エネ発電をしていなくても、「再エネ由来の電力プラン」を契約するだけで、再エネ比率を高めることができます。例えば電力会社が提供するグリーン電力証書付きの電力契約プランや、FIT非化石証書付きの電力契約プランを選ぶことで、実際に使用する電力が再生可能エネルギーに由来していることが証明されます。自家発電が難しい企業や施設にとっては、もっとも導入しやすい再エネ活用の第一歩です。
蓄電池を活用して効率的に使う
太陽光などの再エネは昼間に多く発電されますが、電力の使用は朝夕や夜間に集中することも多く、時間的なズレが課題になります。そこで蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電力をためて、夜間や電力需要の高い時間帯に使うことができ、再エネの「使い残し」を防げます。また、非常時のバックアップ電源としても役立ち、BCP対策にもなります。再エネを最大限に活用するうえで、蓄電池は効果的な選択肢です。
蓄電池導入のメリット
電気代の削減(ピークシフト・ピークカット)
蓄電池があれば、昼間に太陽光などで発電した電力をためておき、夜間や電気代の高い時間帯に使うことができます。これにより再エネの自家消費率が高まり、「ピークシフト」による電力の時間的分散や、「ピークカット」による最大使用量の抑制が可能になります。再エネを無駄なく活用しながら、電気料金の削減にもつながる効率的な方法です。
災害時の備えとして非常用電源に
蓄電池があれば、停電や災害などの非常時でも、照明や通信機器、冷蔵庫など最低限必要な電力を確保することができます。特に太陽光発電と組み合わせれば、長時間の電力確保も可能となり、事業継続や生活の安心につながります。防災の観点でも、蓄電池は有力な備えとなるため、BCP(事業継続計画)の一環として導入を進める企業も増えています。
電力供給を安定させる役割
再エネは天候に左右されやすく、発電量が不安定になりがちです。しかし蓄電池があればその影響を緩和できます。発電した電力をいったん蓄え、必要なタイミングで使うことで電力の出力変動を抑え、安定した供給が可能になります。特に工場や医療機関など、電力の安定性が求められる現場では、蓄電池が重要なバックアップ手段となります。
環境への貢献にもつながる
蓄電池を活用することで、再エネの使用量を増やし、化石燃料に頼らない電力利用が可能になります。これにより、CO₂排出の削減に貢献できるだけでなく、企業としての環境意識の高さもアピールできます。サステナビリティや脱炭素が求められる今、蓄電池は環境配慮型のエネルギー運用を支える大きな鍵となります。
再エネを最大化するオムロン フィールドエンジニアリングの
「SolaChiku(ソラチク)」
オムロン フィールドエンジニアリングが提供する再エネ最大化ソリューション「SolaChiku(ソラチク)」は、企業や自治体の脱炭素化を支援する画期的なサービスです。「SolaChiku」は、太陽光発電、蓄電池、そしてオムロン独自のエネルギーマネジメントシステム(Smart-EMS)を組み合わせ、再生可能エネルギーの活用を最大化するソリューションです。PPA(Power Purchase Agreement)モデルを採用しており、初期投資や運用・保守費用が不要で導入できます。
主な特長とメリット
1.再エネ活用の最大化
Smart-EMSが太陽光発電の発電状況に応じて蓄電池の充放電を最適に制御し、余剰電力を有効活用します。
2.電力コストの安定化
固定単価での電力供給により、電気料金の変動リスクを回避し、経営基盤の強化に貢献します。
3.BCP対策・ESG対応
災害時の電源確保や環境・社会・ガバナンス(ESG)への対応としても有効です。
まとめ | 再エネをビジネスに最大活用するソリューションをご提案します
いかがでしたでしょうか。オムロン フィールドエンジニアリングでは、再エネをビジネスに最大活用するプランを企業様に合わせてご提案いたします。
再エネをビジネスに最大活用しながら、コスト削減や効率化を実現するソリューションについてぜひお問い合わせください。
【執筆者情報】

脱炭素ソリューション.com 編集部
脱炭素ソリューション.comが運営する「エネタメ」は、オムロン フィールドエンジニアリング株式会社のエネルギーマネジメントに関する豊富な実績とノウハウを活かした専門的な情報や、再生可能エネルギー、蓄電池、災害対策、省エネソリューション、補助金などのコンテンツを中心に、脱炭素化/カーボン・ニュートラルの取り組みに役立つ情報を発信しています。