【2024年最新】ESG経営の事例についてわかりやすく解説!
ESG経営って何?メリットや事例をわかりやすく解説!
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ESG経営とは?ESG経営を導入するメリットについても解説
ESG経営とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)について考慮しながら、長期的な企業成長を目指す考え方のことです。
詳しくはリンク先の記事にて解説をしておりますが、今回はESG経営について、具体的な事例を交えながらご紹介していきます。
ESG経営が注目される理由について
ESG経営は近年、環境負荷軽減やダイバーシティ、企業経営の成長戦略として話題に上がるキーワードです。一体どんな点が注目される理由なのでしょうか。
VUCA時代
VUCA(ブーカ)とは、「予測困難」という意味です。変動制(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った言葉で、社会の価値感やニーズが移り変わりやすく、環境や国家のあり方が不安定で、あらゆるビジネスや常識が多様化・複雑化し、曖昧であることを意味しています。
実際、環境問題や人権問題、テクノロジーの変化や国際情勢、新型コロナウイルスなど未知の疾病など、あらゆる進化や問題が複雑に絡み合って、なかなか予測できない時代であることは皆さん充分お感じになっていることと思います。
まさに時代はVUCA。だからこそ世界基準の視野と長期的な目線で企業の成長を目指すESG経営を学んで、変化に強い企業を作ろうというわけです。
SDGs
SDGsは、国連サミットで採択された国際目標です。世界がより良い状態となるために何が必要か。それを考えた時に、これまで維持されてきた「豊かさ」という概念をもう一度見つめなおし「この地球で暮らし続けていくこと」を新たな指標とすべきである、との合意が得られました。国際サミットで全会一致で採択されたこのアジェンダには、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」と名づけられた17のゴールと169のターゲットがあります。「この世界で誰一人取り残さない」という強い決意のもと、各国で取り組みが進められています。
ESG経営はこのSDGsとも基本概念として通じるところが多く、企業版SDGsという理解でESG経営の第一歩をスタートする会社もあります。
ESG投資
ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を成長企業と位置づけ、選別して投資を行うことです。ESG経営は投資家からも「社会的責任や環境配慮責任を果たす優れた企業である」と評価されます。また、先に述べたVUCA時代にあっても、変化や困難に強く中長期的にキャッシュフローを創出できるという好意的な判断がされています。
ESG経営はこういった経済的背景からも、注目されていると言えます。
ESG経営の事例について紹介
E(環境)の取り組み事例
E(環境)①:株式会社村田製作所様
電子部品を主力とする企業として世界トップクラスの株式会社村田製作所様。ESGにおける重要課題を特定し積極的に取り組んでいらっしゃいます。特に太陽光発電の導入には積極的にご検討を進められてきました。環境貢献だけでなく、採算性や面積効率などあらゆる角度からシミュレーションを重ねられた結果、国内拠点の駐車場にカーポート型のソーラーパネルを導入されました。村田製作所様が導入されたソーラーパネルの大きな特徴は両面パネルです。両面パネルによって、上からの光だけでなく地面に当たった反射光についても電力利用が可能になります。想定以上の発電量が期待できたことから、コスト面の課題をクリアすることができました。環境負荷を下げる努力の中で、積極的に課題や制約条件を挙げ活用方法を模索される村田製作所様の姿勢は、ESGの代表的な事例としてオムロン フィールドエンジニアリング株式会社でも大切に共有させていただいております。
E(環境)②:オムロン株式会社
オムロン株式会社は、2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を設定しました。この取り組みを通じ2030年には2016年比で温室効果ガス排出量を32%削減する予定です。この指標と取り組みは、科学的な根拠に基づき温室効果ガスの削減目標を表明するSBTiにも認定されています。
具体的な取り組みとしては、京都府の宮津市に設置したオムロン宮津太陽光発電所で発電した電力を、100km離れた京阪奈イノベーションセンタへ送電する事業を2023年1月から開始しました。この送電の大きな特徴は「自己託送」方式です。自己託送方式は太陽光発電などで発電した電力を一般送配電事業者の送配電ネットワークを通じて送るシステムで、これによりスペース不足などが原因で再生可能エネルギーの調達が難しかった例においても、電力の調達を可能にする実例を作ることができました。
このような事業を通して再生可能エネルギーの「自家発電・自家消費」を拡大するとともに、取り組みで培ったエネルギーマネジメントに関する技術やノウハウを顧客に提供することで、社会的なカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
S(社会)の取り組み事例
S(社会):オムロン株式会社
ESG経営の中でも、社会(Social)は人権保護や労使関係、地域社会とのかかわりについて課題を挙げ、解決していく取り組みです。たとえば次のようなことが挙げられます。
・多様性を受け入れるダイバーシティの推進
(女性の活躍推進・外国人や障がい者の雇用整備・LGBTへの理解促進など)
・労働条件の改善
(労働者のメンタルヘルスへの配慮・育児環境の整備・テレワークの導入など)
・商品の安全基準の強化
(品質保証や適切な情報開示・食品などの宗教対応・誤使用の防止など)
・地域社会とのかかわり
(企業特性を活かした地域社会への貢献・祭りなどの文化貢献・災害対策/支援)
これらについて明確な指標を持ち、数字をもって取り組みを進めることがESG経営においては大切です。オムロン株式会社では「価値創造にチャレンジする多様な人財づくり」として、中期目標(2024年までの目標)達成のために人財開発費用を60億円投資し、海外重要ポジション現地化比率80%以上、グローバル女性管理職比率18%以上、海外28拠点での障がい者雇用の実現、日本国内の障がい者雇用率3%維持などを宣言しています。また、経営トップ自らが「健康経営」を推進しており、独自の指標として「Boost5」を設定、運動:週2回以上/タバコ:吸わない/食事:BMI18.5以上25未満/睡眠:1日平均睡眠時間6~8時間/メンタルヘルス:精神的なストレスとうまく付き合う など具体的な目標を提示し、社員の達成状況のデータを収集して「オムロン健康白書」として公表しています。
G(企業統治)の取り組み事例
G(企業統治):オムロン株式会社
ガバナンスは「企業統治」と訳されますが、これは持続的な企業価値の向上を実現するために、経営の透明性・公正性を高める取り組みです。先に述べたVUCA時代を生き抜くためにも、企業にとって迅速な意思決定と、連携力、実行力は必要不可欠だと言えます。このような力を育むための理念としくみ作り、そしてコンプライアンスがESG経営におけるG(企業統治)の取り組みです。
オムロン株式会社では公正性・透明性の高い経営のために、
「コーポレート・ガバナンス」
「コンプライアンス・リスクマネジメント」
「税務方針」
それぞれに対して基本的な方針とそれを実現する体制を公開しています。その中で例えばリスクマネジメントについては、リスクマネジャーを約160名任命し、企業倫理・リスクマネジメント委員会を年4回開催するなどして関係者で共有、影響評価を行いながら活動の外部公表を行っています。
その他企業のESG経営の事例について紹介
オカネツ工業株式会社様の事例
オカネツ工業株式会社様は岡山県で小型農業機械や歯車などを製造販売されています。金属を熱処理する機械をはじめ多くの機械を動かすため電気コスト削減は以前から優先課題でした。また、電気量には空調が占める割合も多く、夏の暑い時期などにデマンド警報(電力使用量を監視する装置の警報)などが鳴るとエアコンを切って社員に我慢してもらう場合があるなど、大きな悩みを抱えておられました。
きっかけは2011年の東日本大震災です。オカネツ工業株式会社様は省エネ委員会を立ち上げられ、様々な省エネ対策を模索される中で、自家消費型の太陽光発電システム導入に辿り着かれます。コスト面での悩みをスタート地点として、さまざまにご検討を重ねられた結果、環境貢献や労働環境改善など、ESG視点でも結果を出した好例となりました。
ヤマエ食品工業株式会社様の事例
宮崎県都城市で南九州の味を全国に届けている食品会社のヤマエ食品工業様。醤油や味噌など、地域の水と自然の恵みを活かした食品づくりを150年以上続けてこられたヤマエ食品工業様にとって、環境配慮は重要なミッションでもありました。
設備の老朽化に伴い、ボイラーの燃料を重油からガスへと転換。CO2の排出量の削減を実現することができました。重油取り扱いがなくなったことでボイラー専任者の負担も少なくなり、従業員たちの負荷もかなり減ったとご実感をいただきました。
このように、地域に根差した事業をされていらっしゃる企業様にとっては、ESG経営がいかに成長戦略に大切かということがお分かりいただけるかと思います。環境負荷を軽減する思い切った取り組みが、サステナブルな企業経営を実現する実例となりました。
前原製粉株式会社様の事例
兵庫県でお餅やあられなどの製造販売を営んでいらっしゃる前原製粉株式会社様。国産の特別栽培米を使用した丸餅など、高品質な製品づくりを明治時代から続けていらっしゃいます。製品の味と安全を守るうえで温度管理が必要なため、空調など製造過程で消費する電力はなかなか抑えることができません。そんな中電気料金の値上げに直面し、工場内の蛍光灯をLEDに変えたり、モーターを効率の良いものに変更するなど、ありとあらゆる省エネが実践されました。エネルギー診断の結果、空調やコンプレッサーの電力量がかさんでいることがわかり、コンデンシングユニットの変更など工場内設備の総合的な更新をご決断されました。
常に問題意識を持たれ省エネ活動に積極的に取り組まれる姿勢が、大規模な更新へとつながりました。この省エネ意識は広義のESG経営とも言えます。すばやい意思決定が下された結果、想定以上の省エネ効果が挙げられた好例です。
まとめ
ESG経営は企業がサステナブルに成長していくために、欠かせない考え方です。すべての人や、環境にやさしい企業であるための仕組みづくり。それがESG経営の基本的な考え方とも言えます。
この章を通してESG経営は難しいことや特別なことだというよりも、中長期的に企業として成長することを考えると避けて通れない道であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。今日から始められるESG経営。ぜひ、御社でも取り組みの第一歩を踏み出してみてください。
【執筆者情報】
脱炭素ソリューション.com 編集部
脱炭素ソリューション.comが運営する「エネタメ」は、オムロン フィールドエンジニアリング株式会社のエネルギーマネジメントに関する豊富な実績とノウハウを活かした専門的な情報や、再生可能エネルギー、蓄電池、災害対策、省エネソリューション、補助金などのコンテンツを中心に、脱炭素化/カーボン・ニュートラルの取り組みに役立つ情報を発信しています。