最新【令和6年度(2024年度)版】
太陽光発電の補助金(事業用)について解説!(【令和5年度】補正予算について追記)
2024年度の補助金を最速で解説!
INDEX
- 【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の概算要求とは?
- 【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の【環境省】概算要求について
- 民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
- 建築物等のZEB化・省CO₂化普及化加速事業
- 工場・事業場における先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)
- 【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の【経済産業省】概算要求について
- 需要家主導太陽光発電導入促進事業
- 再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業
- 省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費(経済産業省)
- 省エネルギー設備への更新を促進するための補助金(経済産業省)
- 【環境省】【令和5年度】補正予算の概要
- 【環境省】補正予算・建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
- 【環境省】民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
- 【環境省】工場・事業場における先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)
- 【経済産業省】【令和5年度】補正予算【経済産業省】の概要
- 【経済産業省】省エネルギー投資促進支援事業費
- 【経済産業省】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費
- まとめ:太陽光発電の補助金に関する注意点
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【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の概算要求とは?
令和6年度(2024年度)の太陽光発電補助金の概算要求が各省庁より発表されました。概算要求というのは、各省庁が取り組みたい事業と必要な費用の見積もりを財務省に提出するものです。毎年8月末までに概算要求が出され、それをもとに年末の予算案が決定します。
概算要求に先立って、予算規模の膨張を防ぐため財務省から「概算要求基準」と呼ばれる上限額が示されています。8月末の概算要求では、概算要求基準(上限)の2割増までの予算要求が可能であり、これは概算要求と区別するため「要望」と呼ばれています。
環境省による令和5年度(2023年度)のエネルギー対策特別会計に関する要求・要望額は合わせて約2,436億円でした。(成立予算額は1,913億円)
令和6年度の概算要求は4,024億円(要求・要望額は4,026億円)となっていますので、約65%増となっています。それだけエネルギー問題を政府が喫緊の課題として捉えていることがうかがえます。
今後ますます、太陽光発電や蓄電池導入、再生可能エネルギー開発など脱炭素化を促進する取り組みへの補助金や支援は手厚くなっていくものと考えられます。
この記事では、太陽光発電関連の補助金の最新情報をお伝えしてまいります。
<参考リンク>
令和5年度環境省予算概算要求事項別表(環境省)
令和6年度環境省予算概算要求事項別表(環境省)
【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の
【環境省】概算要求について
令和6年度(2024年度)のエネルギー対策特別会計予算要求額として、環境省は全体で4,024億円の予算を要求しています。その中で環境省は以下の4つの柱を掲げ、それに付随する形で52の事業と費用を要求しています。
1.脱炭素でレジリエントかつ快適な地域とくらしの創造(2,444億円)
2.地域・くらしを支える企業・物流・資源循環などバリューチェーン・サプライチェーン全体の脱炭素移行の促進(1,035億円)
3.地域・くらしの脱炭素化の基盤となる先導技術実証と情報基盤等整備(299億円)
4.世界の脱炭素移行への包括支援による国際展開・国際貢献(240億円)
当章では、2024年概算要求に含まれる様々な補助金の概要と事業内容について解説してまいります。
※概算要求に含まれる内容は2023年9月時点のものとなるため、実際の補助金内容とは変更となることがあります。
※一部事業は経済産業省や農林水産省、国土交通省など他省庁との連携事業です。
<参考リンク>
令和6年度(2024年度)エネルギー対策特別会計概算要求 全体概要
令和5年度環境省予算概算要求事項別表(環境省)
令和6年度環境省予算概算要求事項別表(環境省)
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
令和6年度要求額 | 193億3700万円(42億6000万円)※括弧内は2023年度実績 |
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事業内容 | ①ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備などの価格低減促進事業 ②新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ③再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業 ④離島等における再エネ主力化に向けた設備導入等支援事業 ⑤平時の省CO₂と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業 ⑥データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業 ⑦公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業 |
委託先及び補助対象 | 民間事業者・団体等 |
実施期間 | ※メニュー別に異なるため本資料参照 |
「民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業」は、主にオンサイトPPA(※1)による自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援するものです。これにより環境省はストレージパリティ(※2)の達成を目指しています。
さらに、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)(※3)やため池太陽光など、新たな手法による再エネ導入・価格低減により地域に再生可能エネルギーの浸透を図り、潜在的な発電能力の向上を図ります。
(※1)オンサイトPPA…発電事業者が、需要家(電気を消費する側)の敷地内に太陽光発電設備を設置(設置費用は発電事業者負担)し、所有・維持管理をしたうえで、発電された電気を需要家に供給する仕組みのこと。
(※2)ストレージパリティ…太陽光発電設備の導入に際して、蓄電池を導入しないよりも蓄電池を導入したほうが経済的メリットがある状態のこと。
(※3)ソーラーシェアリング…農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組みのこと。営農型太陽光発電ともいう。
<参考リンク>
参照:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
建築物等のZEB化・省CO₂化普及化加速事業
令和6年度要求額 | 150億円(新規) |
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事業内容 | ①ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業 ②LCCO₂削減型の先導的な新築ZEB支援事業 ③国立公園利用施設脱炭素化推進事業 ④水インフラにおける脱炭素化推進事業 ⑤サステナブル倉庫モデル促進事業 ⑥省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業 ⑦CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業 |
委託先及び補助対象 | 地方公共団体・民間事業者・団体など |
実施期間 | ※メニュー別に異なるため本資料参照 |
「建築物等のZEB化・省CO₂化普及化加速事業」は、主に建築物などにおけるZEB化(※1)や省CO₂改修など、高効率設備導入等を支援するものです。
LCCO₂(※2)などの評価基準を導入し、建築から廃棄に至るまで先導的なCO₂削減に取り組む地方公共団体や民間事業者を支援します。
(※1)ZEB化…ネット・ゼロ・エネルギー・ビル。日差しの遮蔽や自然エネルギーの利用、高断熱化などによるエネルギーの効率化と、太陽光発電などによるエネルギーの創出によって、年間に消費するエネルギーが大幅削減されている最先端の建築物のこと。
(※2)LCCO₂…ライフサイクルCO₂。製品製造の際に発生するCO₂を製品の寿命1年あたりの排出量として算出し評価する手法のこと。建築物におけるLCCO₂とは、建築時、運用時、廃棄時の各段階で二酸化炭素発生量を評価する。
<参考リンク>
参照:建築物等のZEB化・省CO₂化普及化加速事
サステナブル倉庫モデル促進事業
「建築物等のZEB化・省CO₂化普及化加速事業」の中でも「⑤サステナブル倉庫モデル促進事業」は、物流施設における再生可能エネルギー設備の導入と、無人フォークリフトやロボットなどCO₂削減や省人化を実現する機器を同時に導入する取り組みを支援することで、サステナブル倉庫モデルの普及を図るのが狙いです。これにより業界全体でCO₂排出削減と担い手不足対策、災害時のサプライチェーンの維持など、複数の地域課題解決に貢献します。
この事業には上限1億円の補助が検討されています。
物流倉庫や保管倉庫をお持ちの企業様で、無人搬送車など省人化機器導入や太陽光発電設備の導入をご検討の場合はぜひご相談ください。
工場・事業場における
先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)
令和6年度要求額 | 90億円(36億8500万円)※括弧内は2023年度実績 |
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事業内容 | ①CO₂削減計画策定支援 ②省CO₂型設備更新支援 ③企業間連携先進モデル支援 ④補助事業の運営支援 |
委託先及び補助対象 | 民間事業者・団体 |
実施期間 | 令和3年度~令和7年度 |
「工場・事業場における先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)」は、工場・事業場における先導的な脱炭素化に向けた取り組みを推進し、脱炭素化のロールモデルとなる取り組みを創出・支援するものです。
①のCO₂削減計画策定支援は主に中小企業などでCO₂をどれくらい排出しているかを把握し、運用の改善実行を支援するものです。補助率は3/4、補助上限は100万円となっています。(※DX型計画は補助上限200万円)
②の省CO₂型設備更新支援は、①の計画策定に基づいた設備更新や電化・燃料転換を支援するものです。事業内容によって補助率は異なりますが1/3の補助率と最大で5億円の補助上限が予定されています。
③の企業間連携先進モデル支援は、企業間で連携し、バリューチェーン(製品に付加価値を創造し提供する一連の組織連携)全体でCO₂を削減する取り組みに対して支援するものです。補助率は1/3~1/2、上限5億円の補助が予定されています。
④の補助事業の運営支援は委託事業で、CO₂排出量の管理システムの提供や実施結果の取りまとめを行う業者に対しての支援です。
製品を消費者に送り届けるバリューチェーン全体でCO₂削減を考え、取り組むことで、個社単位の取り組みを超えた、先進的な脱炭素化の企業間連鎖が期待できます。
<参考リンク>
参照:工場・事業場における先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)
【令和6年度】(2024年度)太陽光発電補助金の
【経済産業省】概算要求について
令和6年度(2024年度)のエネルギー対策特別会計予算要求額として、経済産業省は全体で7,820億円の予算を要求しています。これとはべつにGX(※1)推進対策費として1兆985億の概算要求を提出。蓄電池の製造サプライチェーンや半導体サプライチェーンの強靭化の支援など、様々な取り組みを支援する意向です。
また、経済産業省はエネルギー開発の新しい技術や価値観の創出に向け、スタートアップ(新興企業)の育成にも重点的に取り組む姿勢を見せています。
(※1)GX…グリーントランスフォーメーション。脱炭素社会の実現に向けて、経済社会構造を変革すること。
<参考リンク>
参照:令和6年度 経済産業省関係 概算要求等概要(経済産業省)
需要家主導太陽光発電導入促進事業
令和6年度要求額 | 158億円(105億円)※括弧内は2023年度実績 |
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事業内容 | ①需要家主導型太陽光発電導入支援事業 ②再エネ電源併設型蓄電池導入支援事業 |
委託先及び補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。) |
「需要家主導太陽光発電導入促進事業」は、需要家(電気を消費する企業や工場など)が、太陽光発電設備や蓄電池を導入し、長期間使用するための支援を行うものです。この場合の主な条件は以下の通りです。
・一定規模以上の新規設置案件※であること
※同一の者が主体の場合、複数地点での案件の合計も可
・FIT/FIPを活用しない、自己託送ではないこと
・需要家単独または需要家と発電事業者と連携※した電源投資であること
※一定期間(8年)以上の受電契約等の要件を設定。
・廃棄費用の確保や周辺地域への配慮等、 FIT/FIP制度同等以上の事業規律の確保 に必要な取り組みを行うこと 等
この事業は令和4年度から4年間を目途に継続して実施する事業で、政府の2030年の長期エネルギー需給見通しの実現を目的としています。
新たに太陽光発電設備や蓄電池の導入を検討されている方にとっては前向きな検討材料となる支援事業です。ご相談の際はお気軽にお問い合わせください。
<参考リンク>
参照:需要家主導太陽光発電導入促進事業
再生可能エネルギー導入拡大に資する
分散型エネルギーリソース導入支援事業
令和6年度要求額 | 120億円(新規) |
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事業内容 | ①調整力等の供出が可能な系統用蓄電池等導入支援 ②配電事業等の参入を見据えた地域独立系統の構築・計画策定支援 ③地域共生型再生可能エネルギー顕彰事業 ④DRに対応したリソース導入拡大 |
委託先及び補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。) |
「再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業」は、地域に根差し、より安定して電力を供給・管理するための設備導入支援事業です。
再生可能エネルギー拡大のためには、これまでのように電力会社(一般配電事業者)が一括して電力バランスを管理し安定供給を目指すのではなく、地域や企業、家庭単位で電力バランスを調整し、管理する必要があります。
そのために政府(経済産業省)は、蓄電池導入を行ったり、一般配電事業者から独立して電力を供給する「地域独立系統」の構築を行ったりする企業に対しての支援を検討しています。
①の調整力等の供出が可能な系統用蓄電池等導入支援は、電力を安定供給できる、調整力の高い定置用蓄電システムの導入に対して支援するものです。
②の配電事業等の参入を見据えた地域独立系統の構築・計画策定支援は、先述した「地域独立系等」の構築などにかかる費用を補助するものです。
③の地域共生型再生可能エネルギー顕彰事業は、地域の脱炭素化や災害対策など、再生可能エネルギーを通して地域共生に取り組む優良事業を顕彰する事業です。
④のDRに対応したリソース導入拡大は、ディマンド・リスポンス(※1)のリソースとして活用が期待されている家庭や産業用の蓄電システムの導入費用を補助するものです。
ディマンド・リスポンス…電気の消費者が電力使用量を制御することで、電力需要パターンを変化させること。電気の需要と供給のバランスを取ることができる。
太陽光発電設備や蓄電システムの導入をはじめとした企業の再生可能エネルギー導入は、地域にとっても脱炭素化や災害時の電源対策など高いメリットがあります。エネルギーリソース事業をご検討の際は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
<参考リンク>
参照:再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費(経済産業省)
令和6年度要求額 | 910億円(新規) |
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事業内容 | 工場・事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を以下の取り組みを通じて支援する。 ①先進事業 ②オーダーメイド型事業 ③エネルギー需要最適化対策事業 |
委託先及び補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。令和4年度実績を踏襲した場合、交付決定日~令和6年3月31日 ※詳細は資源エネルギー庁の資料をご確認ください。) |
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費」は、工場や事業場において省エネ性能の高い設備の導入を支援するものです。例えば、①先進事業では、従来の方式と比較して、革新性や優位性が認められる技術や手法の導入が支援対象となります。②のオーダーメイド型事業は、個別設計が必要な省エネ設備更新が支援対象となります。③のエネルギー需要最適化対策事業は、省エネ設備そのものへの支援ではなく、エネルギーを効率よく使用するための運用やEMS(エネルギーマネジメントシステム)制御設備に対して支援を行うものです。
<参考リンク>
参照:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費
省エネルギー設備への更新を促進するための補助金(経済産業省)
令和6年度要求額 | 360億円(261億円)※括弧内は2023年度実績 |
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事業内容 | 工場・事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を以下の取り組みを通じて支援する。※下記①及び②は、過去に採択した複数年度の設備更新案件の実施分。 ①先進事業 ②オーダーメイド型事業 ③指定設備導入事業 ④エネルギー需要最適化対策事業 |
委託先及び補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。) |
「省エネルギー設備への更新を促進するための補助金」は、2030年度における産業部門・業務部門の省エネ対策目標の達成に寄与することを目的として支援を行うものです。
①の先進事業については、外部審査委員会で技術の先進性や省エネ効果が認められたものについて支援が決定されます。②のオーダーメイド型事業については、事業者の用途に合わせて設計・製造が必要な設備の導入を支援するものです。③の指定設備導入事業は、予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たした指定設備の導入を支援するものです。④のエネルギー需要最適化対策事業は、省エネ設備そのものへの支援ではなく、エネルギーを効率よく使用するための運用やEMS(エネルギーマネジメントシステム)制御設備に対して支援を行うものです。
<参考リンク>
参照:各種支援制度 | 省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト(meti.go.jp)(資源エネルギー庁)
参照:省エネルギー設備への更新を促進するための補助金
【環境省】【令和5年度】補正予算の概要
令和5年度の補正予算が2023年11月29日に成立しました。補正予算とは、予算成立当初の予測より税収が増減したり、災害や想定外の事態による歳出が多かったりした場合に、年度の途中で組みなおした予算のことです。
多くの場合、補正予算は不足分を補うために組まれることから当初予算に追加する形で成立します。令和5年度の環境省の補正予算のうち、省エネルギー関連の予算についてご説明いたします。
令和5年度の環境省の補正予算合計は約3,664億円です。環境省は補正予算の主なトピックスとして
①地域・くらしのGXを通じた物価高対策・国内投資促進(約2,285億円)
②世界のGXに資する我が国の優れた技術への投資促進(約39億円)
③国立公園の魅力向上等を通じた地方の成長(約69億円)
④災害対応等による国民の安全・安心の確保(約1270.4億円)
を挙げています。この中で大きな割合を占めているのが①の地域・くらしのGXを通じた物価高対策・国内投資促進(約2,285億円)です。GXとは「グリーントランスフォーメーション」のことで、太陽光発電などのクリーンなエネルギーへの転換を促す政策について、環境省が追加支援を行っていくことを示しています。
【環境省】補正予算・建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業
環境省の補正予算のうち特に予算割合の多い①地域・くらしのGXを通じた物価高対策・国内投資促進(約2,285億円)費ですが、その中でさらに、「建築物等のZEB・省CO₂化促進(62億円)」があります。これは簡単にご説明すると建築物などのZEB化(※1)を進めるための予算です。
そして「建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業(62億円)」は、さらに詳細な事業内容として3つの柱に分かれています。
①ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
②省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業
③サステナブル倉庫モデル促進事業
です。この章では3つの事業についてご紹介いたします。
令和5年度補正予算(案) | 約62億円 |
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事業目的 | ・2050年CN実現、そのための2030年度46%減(2013年度比)の政府目標の早期達成に寄与するため、建築物等におけるZEB化・省CO₂改修の普及拡大により脱炭素化を進める。 ・建築物等において外部環境変化への適応強化、付加価値向上を進め、快適で健康な社会の実現を目指す。 |
事業内容 | ①ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業 ②省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業 ③サステナブル倉庫モデル促進事業 |
補助対象 | 地方公共団体、民間事業者、団体等 |
実施期間 | 令和5年度 |
(※1)ZEB化…ネット・ゼロ・エネルギー・ビル。日差しの遮蔽や自然エネルギーの利用、高断熱化などによるエネルギーの効率化と、太陽光発電などによるエネルギーの創出によって、年間に消費するエネルギーが大幅削減されている最先端の建築物のこと。
<参考リンク>
経済産業省metichannel:(経済産業省の施策を動画で紹介するYoutube)
(21)建築物等のZEB化・省CO₂化普及加速事業の御説明【環境省】 (youtube.com)
ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業
「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」は、業務用施設を新築、もしくは改修する際にZEB化をすることで、省エネ・省CO₂対策費の支援をするものです。補助率は延べ面積と新築もしくは既存建築物の改修とで変わります。
延べ面積 | 補助率等 | |
---|---|---|
新築建築物 | 既存建築物 | |
2,000㎡未満 | 『ZEB』 1/2 Nearly ZEB 1/3 ZEB Ready 対象外 |
『ZEB』 2/3 Nearly ZEB 2/3 ZEB Ready 対象外 |
2,000㎡~10,000㎡ | 『ZEB』 1/2 Nearly ZEB 1/3 ZEB Ready 1/4 |
『ZEB』 2/3 Nearly ZEB 2/3 ZEB Ready 2/3 |
10,000㎡以上 | 『ZEB』 1/2 Nearly ZEB 1/3 ZEB Ready 1/4 ZEB Oriented 1/4 |
『ZEB』 2/3 Nearly ZEB 2/3 ZEB Ready 2/3 ZEB Oriented 2/3 |
業務用として使用されている建築物を改装したり、新しく作る際に省エネ設備を導入する場合はこちらの支援が受けられます。省エネ設備の具体的な例としては、太陽光発電を始め、高効率空調や高効率照明など様々な対策が含まれます。環境省としては、ZEBを普及拡大することによって急速な脱炭素化を進める狙いがあります。
<参考リンク>
環境省:令和5年度補正予算(案)
ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(P.16)
省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業
「省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業」は様々な業務用施設において熱中症対策として冷房設備を導入する際、普通の冷却設備を導入するのではなく高効率設備の導入をすることで、CO₂削減を図るための支援です。施設は熱中症予防のクーリングシェルターとしても活用でき、既存建築物のCO₂排出量の削減へと繋げる狙いがあります。
また、フェーズフリー(平時にも災害時にも使える)なコンテナハウスなどに対して、高機能空調、再エネ設備などの導入支援を行うことで、CO₂削減と地域のレジリエンス強化を目指す支援も行っています。
<参考リンク>
環境省:令和5年度補正予算(案)
省CO₂化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業(P.17)
サステナブル倉庫モデル促進事業
こちらは令和6年度予算案の章でもご説明させていただいた通り、物流施設における再生可能エネルギー設備の導入と、無人フォークリフトやロボットなどCO₂削減と省人化を兼務する機器を導入する取り組みを支援することで、サステナブル倉庫モデルの普及を図るものです。過去には保管区画のみが支援対象となっていた時代がありましたが、さらなる省エネにつなげるため、現在では荷役区画も補助対象となっています。
こちらは例えば、物流倉庫の屋根に太陽光発電設備を導入する場合などに受けられる支援です。CO₂排出に多くの影響を与える物流業界として、施設の省エネ化に取り組むことは業界全体としてのCO₂排出削減に取り組む前向きな施策として政府も強力な支援を行っています。
物流倉庫への太陽光発電システムの導入は特に大規模になることが想定されるため、詳細な専門知識と実績を持つ業者の選定が大切です。補助金の活用を含め、ご検討の際はぜひ弊社にご相談ください。
<参考リンク>
環境省:令和5年度補正予算(案)
サステナブル倉庫モデル促進事業(P.18)
【環境省】民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
この事業についての説明は令和6年度の章に記載しているため詳しい説明は省きますが、民間企業による自家消費型・地産地消型の再エネ導入を支援するものです。
令和5年度の補正予算として82億円が計上されています。
令和4年度の予算38億円、2次補正予算90億円、令和5年度の予算額が42.6億円、令和6年度の概算要求額が193億円だったことを考えると、年々予算額が増えている注目の事業だと言うことができます。
この事業の活性化により、今後はオンサイトPPA・ストレージパリティ・ソーラーシェアリング(営農型太陽光)などの再エネ設備導入が、さらに活発に行われていくと推測できます。政府は地域でのエネルギー生成を通して、再エネを主力エネルギーに押し上げていくとともに、レジリエンスの強化を進めていく狙いです。
令和5年度補正予算(案) | 約82億円 |
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事業目的 | ①ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備などの価格低減促進事業 ②新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 ③再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業 ④離島等における再エネ主力化に向けた設備導入等支援事業 ⑤平時の省CO₂と災害時避難施設を両立する新手法による建物間融通モデル創出事業 ⑥データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業 |
委託先及び補助対象 | 民間事業者・団体等 |
実施期間 | 令和5年度 |
<参考リンク>
環境省:令和5年度補正予算(案)
民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業(P.3)
事例1:アルバック機工株式会社 様
アルバック機工株式会社様は真空ポンプの世界有数の専門メーカーです。自家消費型太陽光発電システムの導入により、年間約230トンのCO₂排出量削減を見込んでいます。
グローバル企業として脱炭素企業へと大きく舵を切る決断をされました。
事例2:アイカ工業株式会社 様
アイカ工業株式会社様は愛知県に本社を置き、樹脂合成技術をコアテクノロジーとしてメラミン化粧板や接着剤など様々な製品を生み出している会社です。温室効果ガス削減策を検討するとともに、BCP対策強化、TCFDの賛同を目指して自家消費型太陽光発電システムを導入されました。
※Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
事例3:かどや製油株式会社 様
ESG視点やSDGsへの取り組みを非常に大切にされているかどや製油株式会社様。食料を扱う企業様として原料の調達や製品の供給において気候変動に大きな影響を受けることから、自家消費型太陽光発電システムを導入されました。
【環境省】工場・事業場における
先導的な脱炭素化取り組み推進事業(SHIFT事業)
この事業についての説明は令和6年度の章令和4年度の予算37億円、2次補正予算40億円、令和5年度の予算額が36.85億円、令和6年度の概算要求額が90億円だったことを考えると、支援が継続的に維持されている重要な事業だと言えそうです。
SHIFT事業のポイントは業界やバリューチェーン全体での脱炭素意識を高めるために、先進的な再エネ導入について積極的な支援を行っている点です。日本は製造業が中心産業となっており、工場や事業場におけるCO₂削減は日本の脱炭素化の柱です。お手本となるロールモデルを作り、それに続く企業が増えればより一層脱炭素化の流れは加速します。この事業は政府が前向きに脱炭素化に取り組む企業に対して、支援の手を緩めることなく行っていくという決意の表れともいえます。
脱炭素施策の実施や省エネ設備の導入は、今後のエネルギー転換を予測しても必要な流れだと言えます。ぜひこの流れを早めに捉えて、導入をご検討されることをおすすめ致します。補助金の活用を含め、ご検討の際は弊社にご相談ください。
【経済産業省】【令和5年度】補正予算【経済産業省】の概要
令和5年度の経済産業省の補正予算合計は約4.5兆円です。経済産業省は補正予算の主なトピックスとして
①物価高から国民生活を守る (1.2 兆円/うち、GX:2,800 億円)
②地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する (6,000 億円)
③成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する(2.7 兆円/うち、GX:5,800 億円)
④人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する(160 億円)
⑤国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する(730 億円)
を挙げています。この中でGXに対する予算は8,600億円と大きな割合を占めています。この章では、経済産業省の補正予算のうち、省エネルギー関連の予算についてご説明いたします。
【経済産業省】省エネルギー投資促進支援事業費
「省エネルギー投資促進支援事業」は工場や事業場全体で省エネ化(設備更新)を図る取り組みに対しての支援です。令和5年度補正予算額は250億円となっており、支援規模の大きさが伺えます。この取り組みを通して、2030年度におけるエネルギー需給見通しにおける産業部門・業務部門の省エネ量2,155万klの達成を目指しています。
①の設備単位型は、省エネ性能の高いユーティリティ設備や生産設備などへの更新を支援します。②のエネルギー需要最適化型は、エネマネ事業者などと共同で作成した計画に基づいて、EMS制御装置や高効率設備を導入する際の支援をします。
EMS制御装置や高効率設備のご導入に際しては、弊社にぜひご相談ください。
令和5年度補正予算額 | 250億円 |
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事業内容 | 工場・事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を以下の取組を通じて支援する。 ①設備単位型 ②エネルギー需要最適化型 |
補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。※詳細は資源エネルギー庁の資料をご確認ください。) |
<参考リンク>
経済産業省:令和5年度補正予算の事業概要
省エネルギー投資促進支援事業費(P.5)
【経済産業省】省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費」は、「省エネルギー投資促進支援事業」と名前は似ているのですが別の事業です。令和5年度補正予算では910億円が計上されています。こちらは、工場・事業場全体での大幅な省エネ化や、脱炭素につながる電化・燃料転換についての支援です。
①の工場・事業場型は、工場や事業場全体で機械設計が伴う設備や最新型の設備を導入する際に支援を行います。
②の電化・脱炭素燃転型は化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援するものです。
③のエネルギー需要最適化型は、エネマネ事業者などと共同で作成した計画に基づいて、EMS制御装置や高効率設備を導入する際の支援をします。
EMS制御装置や高効率設備のご導入に際しては、弊社にぜひご相談ください。
令和5年度補正予算額 | 910億円 |
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事業内容 | 工場・事業場において実施されるエネルギー消費効率の高い設備への更新等を以下の取組を通じて支援する。 ①工場・事業場型 ②電化・脱炭素燃転型 ③エネルギー需要最適化型 |
補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。※詳細は資源エネルギー庁の資料をご確認ください。) |
<参考リンク>
経済産業省:省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費
省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費(P.4)
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金
「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」は、災害時において道路等が寸断した場合に、LPガスや石油の燃料供給が滞る可能性があることから、需要家側で燃料備蓄体制を構築する場合の支援を行うものです。
令和5年度補正予算額 | 20億円 |
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事業内容 | 避難所や避難困難者が多数生じる施設等に設置するLPガスタンク、石油タンク等を導入する者に対し、LPガスタンク等の購入や設置工事費に要する経費の一部を補助する。 |
補助対象 | 民間企業等 |
実施期間 | (資料内の記載なし。※詳細は資源エネルギー庁の資料をご確認ください。) |
<参考リンク>
経済産業省:令和5年度補正予算の事業概要
災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(P.71)
事例:社会福祉法人北星会<特別養護老人ホーム天橋の郷> 様
電気式(EHP)、ガス式(GHP)による「ハイブリッド空調システム」を導入したことにより、災害時にも対応できる施設づくりを実現されました。
災害用バルク及びLPガス発電機、GHPの導入に災害バルク補助金を活用し、導入費用負担を軽減されています。
まとめ:太陽光発電の補助金に関する注意点
令和6年度の概算要求が発表され、今後もますますエネルギー対策について政府が地方公共団体や企業を支援する体制にあることがわかりました。
太陽光発電に限らず、事業者様が再生可能エネルギーを利用したい、運用したいとお考えになるとき、補助金や支援事業は設備更新や導入の足がかりとなるものです。
弊社はお客様と立場を共にし、精一杯サポートできるように務めさせていただいております。また、どんなご相談にもお応えできるよう、日々の事例や最新情報の共有を心掛けております。
補助金の内容や申請の仕方について、何かお困りごとやご相談事がございましたら、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。
【執筆者情報】
脱炭素ソリューション.com 編集部
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